当ページのリンクには広告が含まれています。

待ちわびていた映画が一気に公開となった。
- 28年後 白骨の神殿(TOHOシネマズなんば)
- ウォーフェア 戦地最前線(T・ジョイ梅田)
- ランニング・マン(大阪ステーションシティシネマ)
- HELP 復讐島(TOHOシネマズららぽーと門真)
- ブゴニア(TOHOシネマズなんば)
画像:映画.com
どれも大いに、もしくはそれなりに楽しんだが、それにしてもサム・ライミの的中率の高さよ。寡作ではあるが外さない。絶対面白い。凄いことです。
28年後 白骨の神殿(TOHOシネマズなんば)
28年前、人間を凶暴化させるウイルスがロンドンで流出してパンデミックを引き起こし、多くの死者を出した。海を隔てた孤島という環境のためウイルスの蔓延を免れたホーリーアイランドで生まれ育った少年スパイクは、本土で生き延びたドクター・ケルソンと出会い、そして病気の母親を看取った。その後、ウイルスに覆われたイギリス本土で生きる道を選んだスパイクは、感染者に襲われかけたところを、ジミー・クリスタル率いる全員金髪の暴力的なカルト集団「ジミーズ」に救われる。しかし、彼を待っていたのは救済ではなく、救いのない世界で味わうさらなる絶望だった。
引用:映画.com
2026年はまだ始まったばかりだが、これは確実に年末のベスト10に入るんじゃないか。それくらい素晴らしい映画だった。残酷であり、魔術的であり、とにかく「フィクションでしか見ることのできないもの」に溢れていて、驚きの中で魅力的に輝くケルソン先生という知性と、彼の知性の象徴であるサムソンの清らかな実在感が素晴らしかった。
監督がニア・ダコスタに変わったことで、演出が落ち着いたこともよかった。これは好みの話になるが、私はダニー・ボイル特有のやたらチャカチャカさせるコマ落としみたいな演出や、パキッとしすぎな色調がどうにも苦手だ。ニア・ダコスタはどちらかというとじっくり長回しの人で、全体的なトーンもくすみ強め。思えば真逆の資質のような気もするが、湿度が高くホラーテイストなシーンの多かった今作は、ニア・ダコスタの起用が大成功だったと思う。というかニア・ダコスタ監督作は(『マーベルズ』以外)神がかって素晴らしいものばかり。『ヘヴィ・ドライブ』『キャンディマン』『ヘッダ』――どれもアマプラ会員なら無料で鑑賞可能なので、まだ観てない人はぜひ観てほしい。
完結編となる次回作は、いよいよ今回影の薄かったスパイクくんにスポットが当たるだろうし、キリアン・マーフィも再登場するようなので『28日後』ともクロスするのだろう。人間の可能性と限界を知ったスパイクくんに、アレックス・ガーランドはどんな選択をさせるのか、今からとても楽しみにしている。
ウォーフェア 戦地最前線(T・ジョイ梅田)
2006年、イラクの危険地帯ラマディ。アメリカ軍特殊部隊の8人の小隊が、アルカイダ幹部の監視と狙撃任務に就いていた。ところが、想定よりも早く事態を察知した敵が先制攻撃を仕掛け、市街地での全面衝突が勃発。退路を断たれた小隊は完全に包囲され、重傷者が続出する。部隊の指揮を執ることを諦める者、本部との通信を断つ者、悲鳴を上げる者など、現場は混迷を極めていく。そして負傷した仲間をひきずり、放心状態の隊員たちに、さらなる銃弾が降り注ぐ。
引用:映画.com
本作は「戦争映画」というよりも、観客に「戦闘」を体験させることに特化した映画だ。窮地に陥った戦況の再現度の高さはもちろん、とりわけアレックス・ガーランドの前作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』同様音響へのこだわりが凄まじく、95分の短尺とはいえ観終わった後はげっそり疲れる。鑑賞後は戦争というものはつくづく狂気の沙汰であると感じたし、正義の名のもとに彼らが現地の人間に対して行った行為にも不快感を禁じ得なかった。
ただ、もし私とは違う思想を持った人がこの映画を観たら、結構異なる感想を抱くのではないか、ともふと思う。もちろん映画を観てどう思うかは人それぞれ、何を思ったってかまわない。ただなんとなく引っかかってしまうのは、「観る角度を変えたらこう見えるかもしれないな」とぼんやり感じる部分が、これまで私がアレックス・ガーランド作品に感じてきた方向性と、あまりにかけ離れた印象だからだ。そしてその原因はおそらく、本作の共同監督として、元海軍特殊部隊所属のレイ・メンドーサが名を連ねていることが関係していると思う。彼にとって「戦争」は仕事であり、作中で描かれる「戦闘」は仲間と共に挑んだ大切な思い出なのだ。
アレックス・ガーランドとレイ・メンドーサでは、作品に対しての捉え方がかなり違っている。よって観客の感想は、自分がより同調できるほうに引っ張られるのだろう。そうしていろいろな受け止め方が出来ることは、作品についてより深く考えるきっかけにもなりえるので決して悪いことではないと思うのだが。
今作の場合、私はちょっと煮え切らないものを感じてしまった。でもレイ・メンドーサと共同監督ではなかったら、このリアリティは生まれなかっただろうから、ないものねだりをしていることも分かっている。それにそんなモヤモヤしたことを考えたのは観終わった後のことで、観ている間の臨場感と没入感は半端なかった。人って一瞬でただの肉片になるんだよ。
ランニング・マン(大阪ステーションシティシネマ)
社会が一握りの富裕層と圧倒的多数の貧困層に分断され、多くの人々が過酷な生活を強いられている近未来。職を失い、重い病を抱えた娘の医療費にも困窮していたベン・リチャーズは、優勝者に巨額の賞金が与えられるデスゲーム「ランニング・マン」への参加を決意する。しかし、そのゲームの実態は、社会を支配する巨大ネットワーク企業が主催する世界最大のリアリティーショーであり、挑戦者の命懸けの逃走劇を全世界の観客が視聴するというものだった。逃走範囲は無制限。高度な殺人スキルをもったハンターたちが挑戦者を追跡し、さらには視聴者までもが懸賞金目立てで挑戦者を追いかけるという狂気のサバイバルが幕を開ける。
引用:映画.com
87年のシュワ映画『バトルランナー』ではなく、あくまでその原作、スティーブン・キング(執筆当時は別名義リチャード・バックマン)による『ランニング・マン』を忠実に映画化しているとのことだが、初期のキング作品の味わいである独特のネチネチ感(おそらくキングの若さや時代性に由来する)が、どうにもエドガー・ライト監督が手掛けたことによって薄味になってしまったような気がする。
もちろん近未来ガジェットを含む満載のアクションなど相性のいい部分もあるのだが、やはりそれを際立たせるのは格差社会が行くところまで行ってしまったディストピアの陰惨さがあってこそなのではないか。シュワちゃんのスター性と個性溢れるストーカーの魅力で文字通り「走りきった」87年の『バトルランナー』のように、エドガー・ライトが自身の持ち味をもっと生かせる形で映画化すれば良かったようにも思うが、彼は原作の大ファンとのこと、忠実にやりたい気持ちが強かったのだろう。でも、それならビターな結末までしっかりやればよかったのにとも思うのだが……大人の事情なんかもあったのだろうか。
映画やドラマの作り手が原作に対してリスペクトを持つのは大事なことだが、思い入れが強すぎると上手く行かないことがある。今回の場合、基本的にはエドガー・ライトお得意のアクション&コメディパート(マイケル・セラのところは大爆笑)とグレンパウエルの人懐っこさでサクッと楽しめるので、失敗作というわけでは全然ない。ただ、もう少しやり方が違えばもっと楽しくなったのではないか、そんな気がしてもったいない。
HELP 復讐島(TOHOシネマズららぽーと門真)
会社員のリンダは、日々パワハラを繰り返す上司ブラッドリーのもとで、息の詰まるような毎日を送っていた。ある日、出張に行くリンダたちを乗せた飛行機が墜落し、目を覚ますと見渡す限りの孤島にいた。生き残ったのは、ブラッドリーとリンダの2人だけ。怪我で身動きの取れないブラッドリーに対し、リンダは持ち前のサバイバルスキルを発揮して状況の立て直しを図り、次第に2人の力関係は逆転していく。それでもなお、傲慢な態度をとり続けるブラッドリーに対し、リンダの中に抑え込まれていた怒りと復讐心が、次第に膨れ上がっていく。
引用:映画.com
本作はサム・ライミのことが大好きな脚本家、ダミアン・シャノンとマーク・スウィフトが、サム・ライミに監督してもらいたくて書いた作品らしい。だから当然のごとくその中身には、サム・ライミが愛するあれやこれやがてんこ盛り。そしてそれらはすべて私の観たいものに相違なく、ということはどう考えてもつまらないわけがないのだが、実際に観たら予想を上回る楽しさだった。
全体的な味わいは2009年の『スペル』に近いブラックなコメディ。飛び出す目玉とか、粘着質のまき散らされる何かとか。安定のライミ節はもちろん満載で、悲惨だったり、肉体的な苦痛だったりという一見深刻な状況が、次々現れては紙一重のさじ加減で絶妙な笑いに転化されていくのが何とも気持ち良い。
その高揚感だけで私はもう大満足なのだが、本作のもうひとつのキモは、中盤あたりからどんどんスライドしていくドラマである。シンプルな下剋上ものだと思っていたら、徐々に「え、ああ……えー!!」となって、最終的には「マジでか!!」となる。このくだりは若干人を選ぶかもしれないが、私は大変楽しんだ。サム・ライミお得意の、一歩間違えると怖いもの、不愉快なものを笑いに変えていく手法の発展系とも言えるし、そこにレイチェル・マクアダムスとディラン・オブライエンの、何とも憎めない雰囲気がうまく作用しているからだ。
このオチについてはいろいろ書きたいところだが、これは絶対知らずに観た方が楽しいと思う。ミステリーの犯人とかより、知らないままで観てほしい。冒頭からいろいろな「フリ」があるので、そこからほどよく心をかき乱されてほしい。
ブゴニア(TOHOシネマズなんば)
世界的に知られた製薬会社のカリスマ経営者ミシェルが、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディと、彼を慕う従弟のドン。2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求してくる。ミシェルは彼らの馬鹿げた要望を一蹴し、なんとか言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転する。やがてテディの隠された過去が明らかになることで、荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へと転じていく。
引用:映画.com
元ネタは2003年の韓国映画「地球を守れ!」(未見)。製作に名を連ねているアリ・アスターによると、最初はオリジナルの監督で脚本も手掛けたチャン・ジュナンを起用してのリメイクを予定していたとのことだが、監督が体調の問題から登板をキャンセル。代打としてヨルゴス・ランティモスが呼ばれたらしい。
ジャンルとしては(後半ツイストがあるが)基本的には『ペイン&ゲイン』とか『ファーゴ』みたいな「浅はかな人間による雑な犯罪もの」。頭の回転が速く身体能力もわりと高い女社長(エマ・ストーン)を相手に右往左往する限界一般人ジェシー・プレモンスはもうそれだけでおもしろく、その部分だけで料金分しっかり楽しませてもらった。
本作にはさらにラストにちょっとしたひねりがあり(オリジナル通りのようだし、展開としてはそう意外でもないのだが)そちらのパートは前半、中盤とは打って変わってビジュアルが圧巻だ。加えてランティモスお得意の(とはいえおそらくオリジナルから引き継がれているのだろう)「権力」や「抑圧」といった社会派要素もほどよくまぶされ、結果ヨルゴス・ランティモス史上最高の見やすさを備えた作品となっている。
正直オスカーに何部門もノミネートされるような類の作品ではないと思うのだが(けなしているわけではなく作品のスケール的に、ということ)、私はかなり気に入った。目下本作より一段とグロいらしいオリジナルにも興味津々なのだが、これも(前記事の『シャドウズ・エッジ』リメイク元『天使の眼、野獣の街』に続き)配信はされておらず、ツタヤディスカスでチェックしてはいるものの一向に貸し出される気配がない。
画像:(C)2025 Real Time Situation LLC. All Rights Reserved.(C)2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.(C)2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.