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2025年7月前半に観た新作映画の感想を書いています。
- アスファルト・シティ(大阪ステーションシティシネマ)
- 28年後…(TOHOシネマズ梅田)
- F1 エフワン(TOHOシネマズららぽーと門真/Dolby Cinema)
- スーパーマン(109シネマズ大阪エキスポシティ/IMAXレーザーGT)
- 顔を捨てた男(なんばパークスシネマ)
- DROP ドロップ (TOHOシネマズ なんば)
画像:映画.com
頭ひとつ飛び抜けておもしろかったのはやはり『スーパーマン』。『アスファルト・シティ』『顔を捨てた男』『DROP ドロップ』も、それぞれ見どころ、見ごたえがあって楽しみました。
あとの2本もつまらなかったわけではまったくないので、7月前半の鑑賞生活はかなり充実していました。
ただちょっと所用が重なりまして、気がつけば9月。少し遅くなってしまったので、感想は短めにまとめています。
このあとネタバレがあります。気になる方はご注意下さい。
アスファルト・シティ(大阪ステーションシティシネマ)
犯罪と暴力が横行する混沌の街ハーレム。医学部入学を目指し勉学に励むクロスは、その一方で新人救急救命隊員として働きはじめる。腕利きのベテラン隊員ラットとバディを組んだ彼は厳しい実地指導を受けるが、様々な犯罪や薬物中毒、移民やホームレスの終わりなき問題に直面し、自分の無力さに打ちのめされてしまう。そんな中、自宅で早産した女性からの要請で出動するが、新生児への処置をめぐり、クロスとラットの人生は大きく狂いはじめる。
引用:映画.com
『暁に祈る』が壮絶だったジャン=ステファーヌ・ソベール監督の新作です。
舞台はニューヨーク、ハーレム。タイ・シェリダン演じる主人公オリーは、医者になるための大学に進む勉強をしながら新人救急救命士をして働いているのですが……救急救命士って勉強しながらできるお仕事なん? バイト? いやまさか、こういう現場を経験していると、進学に有利になるのか? いきなりそんなことをうっすら考えながら見はじめたんですが(実際どういうことなのかは謎)、いやもう、冒頭からその現場のあまりの凄まじさに細かいことはすぐにどうでもよくなりました。日本よりずっと経済格差が深刻で、さまざまな人が暮らす土地の医療の難しさ……って、言葉で聞くと、ああ、よくありがちな社会派なやつですね、って思うじゃないですか。でもたぶんこの映画を観たら、多くの人がこの言葉から想像する状況の500倍くらい絶望的だから。お話も救いがないばかりだけじゃなく、R15のレイティングが付いているだけあってビジュアルもショッキング。しかも美談でもなんでもない。ただただひたすら絶望しかない。
とはいえ少し気になるのは、ハーレムに暮らすさまざまな人種の描き方がかなりステレオタイプなところ。タイ・シェリダンも彼とバディを組むジーンを演じるショーン・ペンも白人だし、今日びのキャスティングとしてはちょっと偏りすぎているような気がします。いまいち評価が高くないのも、そのあたりのバランスかと。ショーン・ペンも味わい深くて、決して悪い映画だとは思わないんだけど、デリケートな部分だけに手放しで「いいよ」とも言いづらく……うーん、もったいないなあ。
28年後…(TOHOシネマズ梅田)
人間を凶暴化させるウイルスが大都会ロンドンで流出し、多くの死者を出した恐怖のパンデミックから28年後。生き延びるために海を隔てた小さな孤島に逃れた人々は、見張り台を建て、武器を備え、身を潜めて暮らしていた。ある日、島で暮らすジェイミーと、島を一度も出たことのない12歳の息子スパイクは、ある目的のために島の外へと向かい、本土に渡る。彼らはそこで、人間が人間でなくなった感染者だらけの恐怖の世界を目の当たりにする。
引用:映画.com
『28日後…』『28週後…』ともに、それなりに楽しく観た派です。もとよりゾンビ映画の変化球的な切り口のシリーズだったので、そっち方向の期待はそれほどしてなくて。それを踏まえていたせいか本作も特に「なんか違う」となることなく楽しむことができました。
よかったのはレイフ・ファインズの、図らずも直近で公開となった出演作『教皇選挙』と凄まじく方向性の異なる弾けたキャラクター。楽しそうにやってるところもいいし、血を塗りつけているように見える顔面とか、髑髏の塔とかの中二感溢れるビジュアルも好き。今回三部作という構想らしいですが、次も出ることが決まっているということで嬉しい限りです。あとビジュアルといえばまさかの出産シーンが強烈だったし、次回作といえば、確実に次作のメインとなるだろうテレタビーズ集団も興味深く……観終わった今、ぶっちゃけ観る前より5割増しで続編を楽しみにしている自分がいます。こういうことがあるから、それほど思い入れのないシリーズでも新作が来たらチェックせざるを得ないというね。
ただ、主人公の少年の行動(浮気した父親への嫌悪だけで病気の母親を危険な外へ連れ出すという)はあまり乗れなかったな。少年が大人になる通過儀礼がメインのお話だから仕方がないんだけど、昔から思春期映画ってなんか面倒臭いなと思ってしまうフシがあるので……まあこのへんは好みの問題だと思います。
F1 エフワン(TOHOシネマズららぽーと門真/Dolby Cinema)
かつて世界にその名をとどろかせた伝説的なカリスマF1(R)ドライバーのソニーは、最下位に沈むF1(R)チーム「エイペックス」の代表であり、かつてのチームメイトでもあるルーベンの誘いを受け、現役復帰を果たす。常識破りなソニーの振る舞いに、チームメイトである新人ドライバーのジョシュアやチームメンバーは困惑し、たびたび衝突を繰り返すが、次第にソニーの圧倒的な才能と実力に導かれていく。ソニーはチームとともに過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵を相手に命懸けで頂点を目指していく。
引用:映画.com
『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー(監督)&ジェリー・ブラッカイマー(製作)コンビが、トム・クルーズと一緒に培ったアクション映画のハウツーをF1の世界に持ち込みました。なので(言うまでもありませんが)アクションはスゴい。カーレースを題材とした映画は古くからあまたあれど、どうやって撮ってるの? と思うシーンの多さはダントツです。特に走ってる景色からドライバー込みで水平にカメラがスーッと移動するやつ、ピントが微塵も狂わないし、一体どうなってるの? 予告にもあるし、劇中でも何度か出てくるので、おそらく今回の目玉の技術なんだろうけど。
主演はブラピです。トムではないので、クローズアップされているのは命知らずのスタントではなく、還暦を迎えても最盛期とほとんど変わらないスタイルとか、セクシーな佇まいとか。実際、この年齢の凡人なら高確率で痛々しくなってしまいそうなちょっとスカした雰囲気も余裕で様になってるし、逆にレースとなるとベテランとは思えない繊細さを見せるところは母性本能(死語)をくすぐる瑞々しさもあって……この振り幅の自在ぶりさすが。スターというのはおそろしいものですね。
お話もごくシンプルな中年ワンスアゲインものながら、F1というモータースポーツの基本的なルールや、レースの状況などがごく自然に説明されていて、あまり知識のない私にもスムーズに理解出来ました。またドライバーだけじゃなくメカニックの業務内容もしっかりクローズアップされていて興味深かったし、基本的にはとても楽しく鑑賞したのですけれども。
あのラブシーンはいらなかったな。F1という、かつては男しか活躍できなかった世界に女性がいる(しかもリーダー格)ってことは素直に嬉しかったのに、しかも作中でしっかり彼女に「仕事に恋愛は持ち込まない」って言わせてるのに、次の瞬間ベッドってどういうこと? あまりの唐突さ(二人にためらいめいたものもないのでね)に、女の仕事への真剣さってこんなものとバカにされてるような気持ちになってしまいました。ブラピのイメージ的にも、彼女とは恋愛じゃなく、プロ同士としての友情や信頼感をしっかり提示したほうが絶対に現代的で好印象だったと思うんですけど。
これ、私とは立場の違う人、たとえばブラピ世代の男性や若者的にはどうなんでしょうね。もちろん世代や性別で一枚岩ってことはないと思いますが、気になるところではあります。
スーパーマン(109シネマズ大阪エキスポシティ/IMAXレーザーGT)
人々を守るヒーローのスーパーマンは、普段は大手メディアのデイリー・プラネット社で新聞記者クラーク・ケントとして働き、その正体を隠している。ピンチに颯爽と駆け付け、超人的な力で人々を救うスーパーマンの姿は、誰もが憧れを抱くものだった。しかし、時に国境をも越えて行われるヒーロー活動は、次第に問題視されるようになる。恋人でありスーパーマンの正体を知るロイス・レインからも、その活動の是非を問われたスーパーマンは、「人々を救う」という使命に対して心が揺らぎはじめる。一方、スーパーマンを世界にとって脅威とみなす天才科学者で大富豪のレックス・ルーサーは、世界を巻き込む巨大な計画を密かに進行。やがて、ルーサーと彼の手下である超巨大生物KAIJUがスーパーマンの前に立ちはだかる。世界中から非難され、戦いの中で傷つきながらも、スーパーマンは再び立ち上がっていく。
引用:映画.com
本作に関しては大作だし、話題作だし……ということで、感想も世の中に溢れまくっていると思うので、簡単に自分用のメモ程度の覚え書きを残しておくことにします。
78年版ではちょっとダルかった冒頭をざっくりカット、誕生譚もサクサクとテロップですませてしまって、冒頭から怒涛の展開となるのはMCUでも使われた語り口。正直さほど意外ではなかったのですが、驚かされたのはそこから。つまりジェームズ・ガン監督が、自らの資質とはちょっと異なる「スーパーマン」の世界を(今現在の社会情勢もそれなりにふまえた上で)リスペクトを込めて再構築しつつ、自身の持ち味もしっかり打ち出しているところです。デビッド・コレンスウェット、レイチェル・ブロズナハンのコンビのはまり具合はもちろんのこと、ユニバースらしく大勢登場したキャラクターも(クリプト、スーパーガール含めて)超立ってたし、1本の作品としてもきっちり完結しつつ、ユニバースとしての期待も大いにふくらみました。
正直このところアメコミ映画はしんどいものが多かったので、久しぶりに手放しで楽しめて大満足です。この勢いでDCのみならず、マーベルも復調するといいんだけどな。
顔を捨てた男(なんばパークスシネマ)
顔に特異な形態的特徴を持ちながら俳優を目指すエドワードは、劇作家を目指す隣人イングリッドにひかれながらも、自分の気持ちを閉じ込めて生きていた。ある日、彼は外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩みだすエドワードだったが、かつての自分の顔にそっくりな男オズワルドが現れたことで、運命の歯車が狂いはじめる。
引用:映画.com
ルッキズムに関する話でもあるのですが、それよりもう少し広義のコンプレックスにまつわるお話なのかなと感じています。しかも『サブスタンス』みたいな、シンプルにコンプレックスに振り回されるという話じゃなく、実はコンプレックスこそが実は自分自身をかたち作る柱のひとつに(良くも悪くも)なっているみたいな。
主人公エドワードは、手術をしただけじゃなく名前まで変えて新しい自分を手に入れたのに、過去に固執するからちっとも幸せになれません。自分が望んで捨てたはずのものを持つ男オズワルドに固執して、必要以上に踏み込んではどんどんペースを乱されて……。
最終的にとんでもないことになってしまうのですが、その過程がもう「マジでか」の連続で完全にコメディ。本当は笑っちゃいけないんだけど、あまりにひどくて笑っちゃう。でもその一方で「差別」や「偏見」をあらゆる手法で浮き彫りにしていくエピソードは、直球過ぎて居心地の悪さも半端なく……。
エドワードの主観で進む話ということもあってか、登場人物全員(オズワルドも含む)どこか無神経、軽薄に感じられるところも深読みしたくなるポイントで、劇場で観てもとてもおもしろかったですが、配信等で何度も見直すとまた見方が変わったり、新しい発見がある作品だと思います。逆に1回観ただけでは、気になる要素が多すぎて、よかった!! という感想以外まとまらない感じ。年末にベスト10作品を選出するまでには、もう一度じっくり見直さなくてはならない気がしています。
DROP ドロップ (TOHOシネマズ なんば)
幼い息子を育てるシングルマザーのバイオレットは夫の死を乗り越えられずにいたが、マッチングアプリで知り合った男性ヘンリーとのディナーに応じることを決める。高層ビル最上階の高級レストラン「PALATE」の窓際席で会話を楽しむ彼女のスマホに、誰かからスマホのドロップ機能を使ったメッセージが届く。その内容は「目の前にいる男を殺せ。さもなければ、お前の息子を消す」という脅迫だった。ドロップの通信圏である半径15メートル以内から監視され、スマホも完全にハッキングされるなか、絶体絶命の危機に追い込まれるバイオレットだったが……。
引用:映画.com
『ハッピー・デス・デイ』のクリストファー・ランドン監督作品です。今回はホラーじゃなく、いわゆる巻き込まれ形のスリラーで、主人公の設定も(これまではティーンが多かった印象ですが)シングルマザーになりました。とはいえ相変わらずキャラクターは魅力的だし、95分という短いランニングタイムの中で、メインとなる事件に加えて主人公バイオレットの抱えるトラウマ、バイオレットがマッチングアプリで会ったヘンリーの秘密等々のバラし方や、メインのストーリーとの絡め方も非常に上手い。クライマックスにはアクションもしっかり見せて、クリストファー・ランドン監督、本当に器用なんですが……。
基本的にはポスタービジュアルから漂う雰囲気通り、重すぎず深すぎずで誰でも楽しめそうな安心の佳作です。ただし若干DV描写が入るので、フラッシュバックなどの心配のある方は要注意です。