2025年7月後半に観た新作映画の感想を書いています。
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ストレンジ・ダーリン(なんばパークスシネマ)
- IMMACULATE 聖なる胎動(テアトル梅田)
- ファンタスティック4:ファースト・ステップ(TOHOシネマズららぽーと門真/Dolby Cinema)
- ヘッド・オブ・ステイト (配信のみ/Prime Video)
- ハートアイズ(配信のみ/Prime Video)
どれもそれなりに楽しんだのですが、印象に残ったのは『ストレンジ・ダーリン』。仕掛けも楽しみましたが、映画自体の手触りが懐かしく、画作りも魅力的でした。
近年まれに見る本気のバカッぷりが凄まじかった『ヘッド・オブ・ステイト』は、キャストも魅力的でしっかりお金も掛かったポップコーンムービー。もともと配信映画として作られた作品みたいだけど、映画館で観たかったな。
ストレンジ・ダーリン(なんばパークスシネマ)
シリアルキラーによる連続殺人事件が世間を震撼させるなか、モーテルの前に1台の車が停まる。そこには、バーで知り合ったばかりの1組の男女が乗っていた。やがてその女“レディ”は男“デーモン”に命を狙われ、銃を持った彼から必死で逃げ惑うが……。
引用:映画.com
監督:J・T・モルナー/製作:ビル・ブロック ロイ・リー スティーブン・シュナイダー ジョバンニ・リビシ/製作総指揮:ボブ・ヤーリ アマンダ・ハービー ロラン・ウアクニン マイケル・J・ザンピーノ トム・ザドラ ダン・ロウラー エズラ・エマニュエル/脚本:J・T・モルナー/撮影:ジョバンニ・リビシ/美術:プリシラ・エリオット/衣装:ルディ・ロハス/編集:クリストファー・ロビン・ベル/音楽:クレイグ・デレオン/音楽監修:マット・エイバリー/主題歌:Z・バーグ/キャスティング:ナンシー・ネイヤー
出演:ウィラ・フィッツジェラルド/カイル・ガルナー/マディセン・ベイティ/スティーブン・マイケル・ケサダ/エド・ベグリー・Jr./バーバラ・ハーシー/デューク・モルナー
時系列をシャッフルして、ミスリードで展開していくシリアルキラーものです。
時間や空間を自在に切り取り、説明することなくただ提示するだけで観る側に良くも悪くも思い込みを抱かせ、それをひっくり返してあっと言わせるのは映画の十八番。その仕掛けだけでじゅうぶん料金分は楽しめてしまうのですが、全編を彩る70年代サスペンススリラーのディテール(もうもうと煙るタバコや車の煙、臭ってきそうなくらい不潔なモーテル、やけに濃い森の緑など)も大変豊か。さすがフィルム撮影にこだわったというだけあって眺めているだけでも飽きません。クライマックスに登場する終末論者をはじめとして次々出てくる人物もクセ強めで、97分まったく退屈することなく作品世界に引き込まれてしまうのですけれども……。
ちょっとびっくりしたのは、話の全貌が見えてくるにつれて、単に古き良き時代の映画を懐かしみ、再現しているばかりではない視点が浮かび上がってくるところ。ネタバレしたくないので詳細は避けますが、キレのいいラストシーンからエンドロールへの流れや、登場人物に明確な名前がつてなかったりするあたり、いろいろ考えてみるとおもしろそうです。
IMMACULATE 聖なる胎動(テアトル梅田)
イタリアの美しい田園地帯。修道院で暮らしはじめた敬虔な修道女セシリアは、処女であるにも関わらず妊娠していることが判明する。ショックを受けるセシリアだったが、周囲の人々は彼女を次の聖母マリアとして崇め、妊娠を祝福する。やがて、赤いフードをかぶった謎の集団が現れるようになり、セシリアの周囲で修道女の自殺や拷問など奇妙な出来事が続発。身の危険を感じた彼女は、外出を禁じる神父たちの目を盗んで修道院から抜け出そうとするが……。
引用:映画.com
監督:マイケル・モーハン/製作:デビッド・バーナド シドニー・スウィーニー ジョナサン・ダビーノ テディ・シュワルツマン マイケル・ハイムラー/製作総指揮:ジョン・フリードバーグ クリストファー・カサノバ ウィル・グリーンフィールド/脚本:アンドリュー・ロベル/撮影:エリーシャ・クリスチャン/美術:アダム・リーマー/衣装:フランチェスカ・マリア・ブルノーリ/編集:クリスチャン・マシーニ/音楽:ウィル・ベイツ
出演:シドニー・スウィーニー/アルバロ・モルテ/シモーナ・タバスコ/ベネデッタ・ポルカローリ/ジョルジョ・コランゲリ/ドーラ・ロマーノ/ジュリア・ヒースフィールド・ディ・レンツィ/ジャンピエロ・ユーディカ/ベッティ・ペドラッツィ/ジュゼッペ・ロ・ピッコロ
ファンタスティック4:ファースト・ステップ(TOHOシネマズららぽーと門真/Dolby Cinema)
宇宙ミッションのさなかに起きた事故で特殊能力を得た4人は、その力と正義感で人々を救うヒーローチーム「ファンタスティック4」として活躍している。チームリーダーで天才科学者のリード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティックは、ゴムのように自在に伸縮する体を操り、妻スー・ストーム/インビジブル・ウーマンは、透明化や目に見えないエネルギーシールドを使いこなすチームの精神的支柱。スーの弟ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチは、炎を操り高速で空を駆け抜ける陽気なムードメーカーで、リードの親友ベン・グリム/ザ・シングは、岩のように強固な身体と怪力を持つが、内面に葛藤を抱えた心優しい人物だ。世界中で愛され、固い絆で結ばれた彼らは、スーの妊娠という知らせを受けて、喜びに包まれる。しかし、リードのある行動がきっかけで、惑星を食い尽くす規格外の敵、宇宙神ギャラクタスの脅威が地球に迫る。滅亡へのカウントダウンが始まる中、ヒーローである前にひとりの人間として葛藤を抱える4人は、世界を守るために立ち上がる。
引用:映画.com
監督:マット・シャックマン/製作:ケビン・ファイギ/製作総指揮:ルイス・デスポジート グラント・カーティス ティム・ルイス/共同製作:ミッチ・ベル/原案:ジェフ・カプラン イアン・スプリンガー/脚本:ジョシュ・フリードマン エリック・ピアソン/撮影:ジェス・ホール/美術:カスラ・ファラハニ/衣装:アレクサンドラ・バーン/編集:ノーナ・コーダイ ティム・ロッシュ/音楽:マイケル・ジアッキノ/音楽監修:デイブ・ジョーダン/視覚効果監修:スコット・ストクダイク/ビジュアル開発主任:ライアン・メイナーディング/キャスティング:サラ・ハリー・フィン
出演:ペドロ・パスカル/バネッサ・カービー/エボン・モス=バクラック/ジョセフ・クイン/ジュリア・ガーナー/ポール・ウォルター・ハウザー/ラルフ・アイネソン/マーク・ゲイティス/ナターシャ・リオン/サラ・ナイルズ
目下迷走気味のMCU。本作、雑感としては一時期より多少は持ち直してきたのかな、という感じ……って、「ファンタスティック4」歴に関しては、映画3本(『ファンタスティック・フォー 超能力』『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』『ファンタスティック・フォー(2015)』)は鑑賞済みではあるものの、コミックス、アニメは全然知らないのに偉そうですみません。だからこの先はざっくり感想のみメモしておきますが。
よかったところはレトロフューチャーな美術とかガジェットとか。特に印象に残ってるのはロボットのハービーとチームが暮らすお家のインテリア。青色が好きなので、どのシーンにも必ず(たぶん)青が入ってるところなんかはすごく上がりました。エキストラのアイシャドウまで青だったりするんですよ。かわいい。
キャストの好演も良かったところです。特にジョセフ・クインはヒューマン・トーチがすごくぴったり。彼としっかり絡むシルバーサーファー役のジュリア・ガーナーも。ただペドロ・パスカルに関しては、ファンなんだけどちょっとミスキャストだと感じてしまいました。原作をまったく知らないのでもしかしたら見当違いかもしれませんが、ミスター・ファンタスティックってちょっとサイコパスっぽい天才というイメージがあって、それでいくとペドロ・パスカルは、どう考えてもそういうタイプには見えなくて(ちょっと口下手、コミュ障みたいなシーンはあったけど、ただの不器用なオジサンにしか見えない)2005年の映画のヨアン・グリフィスがそのまんまザ・ウザい理系タイプだったんで、引っ張られているだけかもしれませんが。
いまいちだったところは、やっぱり脚本でしょうか。特に宇宙に行くことになるあたりから、話運びがちょっと無理やり(妊婦なのにサクッと宇宙行っちゃうとか、どうにも言う場面やタイミングが不自然なせりふをきっかけにして話が進んじゃうとか)になってきます。もともと練り込み不足なのか、再撮影や編集でとちらかってぼんやりしてしまったのかくわしくは分かりませんが、このパターン、最近のMCUでよくあります。あとアクションももうちょっとたっぷり、というか、クライマックスでちゃんと4人の個性を生かしたものが観たかった。まあ敵がチートすぎて、なかなか難しかったのかもしれませんが、でもなあ、ちゃんと主役が活躍してほしかったかな。
というわけで、いろいろ言いましたが料金分は楽しみました。なかなか全盛期のクオリティには届かないですが、当時めちゃめちゃ楽しませて貰った恩もありますから、MCUはこれからも追い続けていくつもりです。
ヘッド・オブ・ステイト (配信のみ/Prime Video)
英国首相サム・クラークと米国大統領ウィル・デリンジャーは公然のライバル関係にあり、友好とは程遠く、両国の関係を危うくしていた。しかし、2人がともに強大な外敵の標的となり、それぞれのセキュリティチームもかなわない相手だと分かった時、彼らは互いに力を合わせざるを得なくなる。英国秘密情報部「MI6」のトップエージェント、ノエル・ビセットと手を組んだ彼らは、自由世界全体を脅かす世界的な陰謀を阻止し、互いに生き延びるために協力し合うことになる。
引用:映画.com
監督:イリヤ・ナイシュラー/製作:ピーター・サフラン ジョン・リカード/製作総指揮:マーカス・ビシディ ジョシュ・アッペルバウム アンドレ・ネメック ジョン・シナ イドリス・エルバ/原案:ハリソン・クエリー/脚本:ジョシュ・アッペルバウム アンドレ・ネメック ハリソン・クエリー/撮影:ベン・デイビス/美術:ナイル・モロニー/衣装:ジャイニー・テマイム/編集:トム・ハリソン=リード/音楽:スティーブン・プライス/音楽監修:シーズン・ケント/視覚効果監修:レイモンド・チェン/キャスティング:ジョン・パプシデラ ソフィー・ホランド
出演:イドリス・エルバ/ジョン・シナ/プリヤンカー・チョープラー・ジョナス/カーラ・グギーノ/ジャック・クエイド/スティーブン・ルート/パディ・コンシダイン/サラ・ナイルズ/リチャード・コイル
『Mr.ノーバディ』のイリヤ・ナイシュラー監督作で、主演がイドリス・エルバ、そしてジョン・シナ。このメンツで配信のみって……まあ、アマプラ製作で賞レースにのっかるような作品でもないから分からないでもないのですが、アクションが目玉の内容でもあるだけに、スクリーンで観たいよなあ。でも昼ローっぽさもあるから、手軽さという点ではいっそ配信向きであると言えなくもないのだけれど。
というわけで、内容はあらすじの通り、アメリカ映画の伝統でもある戦う大統領もの。とはいえもちろん、今日びの状況を思えばあまり食指の動かないジャンルを真面目にやっているわけではありません。本作は歴代の戦う大統領もののひな形をなぞりつつ、ジョン・シナが元ハリウッドアクションスター(!)という設定を最大限に生かした、メタネタ満載のコメディ仕立てとなっています。しかもその相方となる英国首相役は、絵に描いたみたいな堅物然とした雰囲気がジョンシナといい感じに対称的なイドリス・エルバ……って、もうこれだけでそれなりにおもしろそうじゃない?
とまあ、バカバカしいこと甚だしくはあります。ただ、キャストもいいしテンポもいい。アクションももちろんハイクオリティで、まさに「こういうのでいいんだよ」という仕上がりです。人によっては命の安さが若干気になるかもしれませんが、基本的に誰が観ても楽しめる作品だと思うので、暇な休日のお供にぜひ。主演のふたり以外に、ジャック・クエイドもいい味出してますよ。
ハートアイズ(配信のみ/Prime Video)
バレンタインデーに残業していた会社の同僚2人は殺人鬼“ハートアイズ”にカップルと間違われて襲われてしまう。一年で最もロマンチックな夜を、彼らは命がけで過ごすことに。
引用:Filmarks
監督:ジョシュ・ルーベン/脚本:フィリップ・マーフィー クリストファー・ランドン マイケル・ケネディ
出演:オリヴィア・ホルト/メイソン・グッディング/ジョーダナ・ブリュースター/デヴォン・サワ/ジジ・スンバド/Ben Black/Chris Parker