(C)2023 House Claw Rights LLC; Claw Film LLC; British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.
あらすじと作品情報
1980年代初頭、元AWA世界ヘビー級王者のフリッツ・フォン・エリックに育てられたケビン、デビッド、ケリー、マイクの兄弟は、父の教えに従いプロレスラーとしてデビューし、プロレス界の頂点を目指していた。しかし、世界ヘビー級王座戦への指名を受けた三男のデビッドが、日本でのプロレスツアー中に急死したことを皮切りに、フォン・エリック家は次々と悲劇に見舞われ、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになっていく。
引用:映画.com
監督/脚本:ショーン・ダーキン
出演:ザック・エフロン/ジェレミー・アレン・ホワイト/ハリス・ディキンソン/モーラ・ティアニー/スタンリー・シモンズ/ホルト・マッキャラニー/リリー・ジェームズ/マイケル・ハーネイ
感想
以下、オチに関わるネタバレは極力避けていますが、内容には触れています。気になる方はご注意下さい。
はじめに
とんでもなく絶望的、でもありえないほど美しい
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愛を感じるクライマックス
このあたりはかなり終盤の大切なシーンなので、くわしい説明は省きます。ですがやがてたどり着く幕切れは、これがまたなんとも清らかというか優しくて。降り注ぐ光と、冒頭と対になるような兄弟たちの笑顔。唐突に溢れ出すこの穏やかさは、これまでのショーン・ダーキン監督作にはなかった空気です。それはもしかしたら本作を公認しているケビン・フォン・エリック本人の希望を汲み取ってのものなのかもしれません。いや、ケビンや監督自身のインタビューなんかを読んでると、たぶんそれが最右翼。
それから(鑑賞後に知ったことですが)実は監督自身もかなりのプロレス好きらしく、フォン・エリック・ファミリーの活躍はリアルタイムで知っていたとのこと。だから思い入れがあって、正直絶望しかないドラマの最後に、なんとか彼らを救いたいという気持ちがあったのかも。
父親にほぼ洗脳されていた兄弟たちは基本的に感情を表に出さず、語り口も抑えたものだっただけに、この緊張が一気にほどけるラストのワンシーンは掛け値なしに圧巻です。安易な再現にとどまらない、愛情や遺憾が溢れる「実話もの」味わい深さに、わたしの涙腺は今年一番の凄まじさで決壊。久しぶりに頭痛がするほど泣くくらいに、感情を持って行かれたのでした。
参考
最後に一応。本作を観るにあたってプロレスの予備知識は必要なしです。知っていたら楽しめる要素(当時活躍していたレスラーが登場するなど)は増えるかも知れませんが、テーマは「家族」なので。
ただ「アイアンクロー」という技も知らない、という感じなら、ウィキペディアの「フォン・エリック・ファミリー」の項をサラッと流し読んでおくといいです。もちろん読まなくても大丈夫。
ちなみに、わたしのプロレスに関する予備知識はこの程度。
- アイアンクロー→知ってる、酔っ払うとやる人いた
- フォン・エリック・ファミリー→知らない
でも映画は最高でした。
ひとつだけ懸念があるとしたら、一家の父親、フリッツの毒親ぶり。彼はわかりやすく暴力を振るったりするわけじゃなく、一方的な愛情を笠に着て子供たちを追い込んでいく相当たちの悪い感じの毒親です。そこにトラウマや苦手意識のある人は気を付けてくださいね。