【2024年7月】映画感想文『フェラーリ』『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』『デッドプール&ウルヴァリン』他(ネタバレ)

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2024年7月に観た新作映画の感想を書いています。

自分のための覚え書き的なものなので、ごく簡単なメモのような内容ですがご了承ください。

ラインナップはこちらです。

  • 悪は存在しない(シネマート心斎橋)
  • クワイエット・プレイス:DAY 1(T・ジョイ梅田)
  • フェラーリ(TOHOシネマズ梅田)
  • メイ・ディセンバー ゆれる真実(大阪ステーションシティシネマ)
  • フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(大阪ステーションシティシネマ)
  • デッドプール&ウルヴァリン(大阪ステーションシティシネマ)

いちばんの目玉はやっぱり『デッドプール&ウルヴァリン』。わたしはそれほどアメコミ映画に思い入れがある人間ではありませんが、MCUも『X-MEN』シリーズもリアルタイムで追いかけてきたので、盛り上がっている空気は素直に嬉しいです。

そのほかのタイトルは大スターがキャスティングされたそれなりの大作が目立ちますが、印象的だったのは小品『クワイエット・プレイス:DAY 1』でした。

オチに関わるネタバレは極力避けていますが、内容には触れています。気になる方はご注意下さい。
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悪は存在しない(シネマート心斎橋)

自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からも近いため近年移住者が増加傾向にあり、ごく緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧は、娘の花とともに自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送っているが、ある時、家の近くでグランピング場の設営計画が持ち上がる。それは、コロナ禍のあおりで経営難に陥った芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したものだった。しかし、彼らが町の水源に汚水を流そうとしていることがわかったことから町内に動揺が広がり、巧たちの静かな生活にも思わぬ余波が及ぶことになる。

引用:映画.com
2023年/日本/106分/配給:Incline
監督:濱口竜介/企画:濱口竜介 石橋英子/脚本:濱口竜介/撮影:北川喜雄/音楽:石橋英子
出演:大美賀均/西川玲/小坂竜士/渋谷采郁/菊池葉月/三浦博之/鳥井雄人/山村崇子/長尾卓磨/宮田佳典/田村泰二郎

ふだんめったに観ない邦画ですが、あまりに評判がいいので観てきました。濱口竜介監督に関しては、お名前や世界三大映画祭制覇等の活躍こそ知っていましたが、作品を観るのは初体験。かなりアート寄りなのだろうなと察しましたが、まだお若いというのにこの華々しいキャリアですから、おそらく観るがわの先入観や映画スキルにかかわらずグイグイ引き込まれるくらいパワーのある作品に違いない。

そんなことを思いつつ劇場へ足を運んだら、冒頭の長回しから得体の知れないものにグッと掴まれることこの上なし。主人公がまったく何を考えているのかわからない、どんな心持ちで鑑賞すればいいのかも、いまひとつわからない、なんてぼんやりしたことを思いながらも、圧倒的に力強い映像から目を離すことが出来ませんでした

延々と続く森を見上げるうちに、なにかに絡め取られていくみたいで不安が募るカットとか、出来事としてはこれといって変わったことが起こっているわけではないのに、異常なほどの緊張感に苛まれる「だるまさんが転んだ」とか、ああいうイメージはどこから思いつくんでしょうね。

映画ってやっぱりショットのつながり。イメージの博覧会。カメラをはじめて手にした子供が思いつくままにいろいろなものを撮っているような無邪気さと、超頭いい大人の冷静な洞察力が同居してる、そんな風味の映画です。

ストーリーに関しては、いろいろな解釈が可能です。わたしとしては、他者(自然)の多面性みたいなこと? 悪にも善なる部分があるし、その逆もまた然りみたいな、なんて思っていますが、正解があることではないので、映画好き同士でああだこうだ言い合うのが楽しい消化方法かなと思います。

クワイエット・プレイス:DAY 1(T・ジョイ梅田)

飼い猫のフロドとともにニューヨークに暮らすサミラ。大都会ゆえに不寛容な人もいるが、そんな街での日々も、愛する猫がいれば乗り切ることができる。そんなある日、突如として空から多数の隕石が降り注ぎ、周囲は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれる。そして隕石とともに襲来した凶暴な“何か”が人々を無差別に襲い始める。何の前触れもなく日常は破壊され、瓦礫の山となった街の中を逃げ惑うサミラは、路地裏に身を隠して息をひそめ、同じように逃げてきたエリックという男性とともにニューヨークからの脱出を計画するが……。

引用:映画.com
原題:A Quiet Place: Day One/2024年/アメリカ/100分/配給:東和ピクチャーズ
監督:マイケル・サルノスキ/製作:マイケル・ベイ,アンドリュー・フォーム,ブラッド・フラー,ジョン・クラシンスキー/製作総指揮:アリソン・シーガー,ビッキー・ディー・ロック/原案:ジョン・クラシンスキー,マイケル・サルノスキ/脚本:マイケル・サルノスキ
出演:ルピタ・ニョンゴ/ジョセフ・クイン/アレックス・ウルフ/ジャイモン・フンスー

1、2作目に引き続き「音を立てるとエイリアンが襲ってくる」というシンプルなシチュエーションはそのままに、3作目となる本作が描くのはこれまでの事態の前日譚。ふだんならホラーシリーズも3作目となると、もうアイデアは出尽くしたんじゃないか、金儲けしたいだけのやっつけで作られた低予算映画を見せられるんじゃないかと期待値も下がりがちなんですが。

今回は余裕の安定感。だって監督、脚本を手掛けたのが、ニコラス・ケイジ主演『PIG/ピッグ』のマイケル・サルノスキなんだもの。長編デビュー作にも関わらず、完成されたセンスで文学作品のような深みのある人間ドラマを描きだしたマイケル・サルノスキなんだもの。

我ながらかなり期待に胸を膨らませて劇場へと足を運びました。そしてその期待は裏切られることなく、やっぱりひときわ際立っていたのは、猫を連れた末期がん患者サミラと留学中のイギリス人エリックが紡ぐどこまでも優しい人間ドラマ。終末を待つしかない状況を描くホラー映画として、結末はさほどめずらしいものではないものの、独特のセンスあふれる小物使い、キャラクターの人間性がにじみ出るルピタ・ニョンゴとジョセフ・クインの存在感が素晴らしかったです。

もちろんニューヨークを舞台に、エイリアン襲来の恐怖やそれによってパニックとなる人間たちといったアクションシーンも見事で、やっぱりマイケル・サルノスキ監督、只者じゃない。これからの活躍が楽しみだし、とりあえず『PIG/ピッグ』まだ観てない人には全力で勧めたい。

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ちなみに本作、前日譚ということもあって、これまでのシリーズを観てなくても問題のないつくりとなっています。

ですが1作目も2作目も、小品ながらかなり丁寧に作られたよいホラー。まだ観てないという人がいたらぜひこの機会にどうぞ。

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フェラーリ(TOHOシネマズ梅田)

1957年。エンツォ・フェラーリは難病を抱えた息子ディーノを前年に亡くし、会社の共同経営社でもある妻ラウラとの関係は冷え切っていた。そんな中、エンツォは愛人リナとその息子ピエロとの二重生活を妻に知られてしまう。さらに会社は業績不振によって破産寸前に陥り、競合他社からの買収の危機に瀕していた。再起を誓ったエンツォは、イタリア全土1000マイルを縦断する過酷なロードレース「ミッレミリア」に挑む。

引用:映画.com
原題:Ferrari/2023年/アメリカ・イギリス・イタリア・サウジアラビア合作/130分/配給:キノフィルムズ
監督:マイケル・マン/原作:ブロック・イェーツ/脚本:トロイ・ケネディ・マーティン/撮影:エリック・メッサーシュミット/編集:ピエトロ・スカリア/音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:アダム・ドライバー/ペネロペ・クルス/シャイリーン・ウッドリー/サラ・ガドン/ガブリエル・レオーネ/ジャック・オコンネル/パトリック・デンプシー
会社は倒産寸前、夫婦関係も崩壊寸前。そんな崖っぷちに立たされたエンツォ・フェラーリが、すべてを賭けて1957年の夏に開催された公道レース、ミッレミリアに挑むお話です。フェラーリ大好きマイケル・マンが、それこそ『マイアミ・バイス』の頃からあたためていた企画なのだそうですが…。
レース、私生活、会社経営と、いろいろなエピソードが入り乱れていて、観終わった後はやや散漫に感じました。とはいえ、決して印象に残るシーンがなかったというわけではなく、わたし的にとてつもなく強烈だったのはエンツォの妻、ラウラを演じたペネロペ・クルス。子供を失った悲しみと女のプライド、夫への愛憎が入り交じった熱演は、なにか賞を貰ってもいいのでは? と思わざるを得ない、凄まじいものでした。
あとはまあ、マイケル・マンなのでレースのシーンや当時の車の再現度、爆音のクオリティはさすが。風光明媚なイタリアの山間で開催される、シートベルトという概念のない狂気じみたレースのスリリングな緊張感も伝わります。そもそも撮影がエリック・メッサーシュミットなので、レースに限らずビジュアルは全編見どころです。
ただそれらのエピソードが、いまいちドラマを引っ張る推進力にならなくて…というか、エンツォが良くも悪くもまったく魅力的に描かれない。スピードに取り憑かれたクズみたいな認識でいいのかな? というところまではなんとなく伝わってはくるものの、とにかく終始ぼんやり立ってるだけというか、ラウラ以外の登場人物もあまりガチで絡んでくれないので、人間性が見えてこない。
フェラーリの伝記だというのに、これではちょっと肩透かし。退屈しない要素もあるので料金分は楽しめましたが、レースものとしても、大企業の内幕ものとしても、残念ながらやや中途半端な印象が否めませんでした。

メイ・ディセンバー ゆれる真実(大阪ステーションシティシネマ)

20年前、当時36歳の女性グレイシーは、23歳年下の13歳の少年ジョーと運命的な恋に落ちるが、2人の関係は大きなスキャンダルとなり、連日タブロイド紙を賑わせる。グレイシーは未成年と関係をもったことで罪に問われて服役し、獄中でジョーとの間にできた子どもを出産。出所後に晴れて2人は結婚する。それから20年以上の月日が流れ、いまだ嫌がらせを受けることがあっても、なにごともなかったかのように幸せに過ごすグレイシーとジョー。そんな2人を題材にした映画が製作されることになり、グレイシー役を演じるハリウッド女優のエリザベスが、役作りのリサーチのために彼らの近くにやってくる。エリザベスの執拗な観察と質問により、夫婦は自らの過去とあらためて向き合うことになり、同時に役になり切ろうとするエリザベスも夫婦の深い沼へと落ちていく。

引用:映画.com
原題:May December/2023年/アメリカ/117分/配給:ハピネットファントム・スタジオ/R15+
監督:トッド・ヘインズ/脚本:サミー・バーチ/撮影:クリストファー・ブロベルト/編集:アフォンソ・ゴンサウベス/音楽:マーセロ・ザーボス
出演:ナタリー・ポートマン/ジュリアン・ムーア/チャールズ・メルトン
実際に起こった事件をふまえてはいるものの、それそのものの映画化ではなく「事件を映画化することになり、主演女優が役作りのため当事者のもとを訪ねてくる」というお話です。なんでこんなややこしい設定になっているのか、というのは誰もが考えると思うのですが…。
とりあえず映画を観てみると、さすがトッド・ヘインズ。このスタイルでしかできないテーマを扱っています。それは何かというと、タイトルにも「ゆれる真実」とあるとおり、登場人物や彼、彼女たちの暮らしぶりをさまざまな角度から眺めることで浮かび上がる「曖昧さ」。
作中にはたくさんの「曖昧さ」が渦巻いています。たとえば、「運命の相手が13歳だっただけ」と語る(信じる)グレイシーの不安定(曖昧)さ、そのグレイシーを、安易な取材とものまねで演じようとしている女優エリザベスのいい加減(曖昧)さ、さらには自己を確立する前からグレイシーの理想を押しつけられてきたジョーという人間の存在のあやふや(曖昧)さというのもある。そこから本作は、下世話な実録番組や実話ベースのフィクションがいかにいい加減かということ、ましてやそれを第三者が演じること、果てはエンターテイメントにしてしまうことの傲慢さやいびつさを浮かび上がらせていきます。
というわけでなんていうかこれ、そういったものを嬉々として消費しているわたしの様な人間にはかなりキツいです。ラストでちらっと登場する、実際にエリザベスがグレイシーを演じているシーン。これはもう「エリザベスまじか!」と突っ込まざるを得ない「どうしてそうなった?」なシーンなんですけど、たぶんこんなBased on a true story映画をわたしは日常的に観て、人ごとみたいに笑ったり、分かったような気になって最もらしいことを語っていたりするのかと思うと…キャー、恥ずかしい。
そんな思考にハマってしまうとうっかり凹んでしまいそうな映画ではありますが、ジュリアン・ムーアとナタリー・ポートマン、2大スターの競演はさすがだし、ジョーを演じたチャールズ・メルトンもナイーブな雰囲気が魅力的。「曖昧さ」を強調するかのようなゆらぐ光が印象的なクリストファー・ブロベルト(ケリー・ライカート組の人らしい)による撮影もとても美しく、描かれることの辛辣さに比して夢の中みたいな世界観がクセになる。
なんて、こういうことを言ってること自体なんかなあ、という気持ちになってしまったりもするけれど、言わずにはいられないくらい面白い作品でした。

こちらも本作と同じく、メイ・ディセンバー事件(メアリー・ケイ・ルトーノー事件)に着想を得た小説の映画化。この事件はこういうふうに都合のいいように擦られ、使われまくってきたのだろうなと思うと複雑ですが、ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットのスター競演は見ものです。

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(大阪ステーションシティシネマ)

1969年、アメリカ。人類初の月面着陸を目指す国家的プロジェクト「アポロ計画」の開始から8年が過ぎ、失敗続きのNASAに対して国民の関心は薄れつつあった。ニクソン大統領の側近モーは悲惨な状況を打開するべく、PRマーケティングのプロフェッショナルであるケリーをNASAに雇用させる。ケリーは月面着陸に携わるスタッフにそっくりな役者たちをメディアに登場させて偽のイメージ戦略を仕掛けていくが、NASAの発射責任者コールはそんな彼女のやり方に反発する。ケリーのPR作戦によって月面着陸が全世界の注目を集めるなか、「月面着陸のフェイク映像を撮影する」という前代未聞の極秘ミッションがケリーに告げられる。

引用:映画.com
原題:Fly Me to the Moon/2024年/アメリカ/132分/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:グレッグ・バーランティ/脚本:サミー・バーチ/撮影:クリストファー・ブロベルト/編集:アフォンソ・ゴンサウベス/音楽:マーセロ・ザーボス
出演:スカーレット・ヨハンソン/チャニング・テイタム/ジム・ラッシュ/アンナ・ガルシア/ドナルド・エリース・ワトキンズ/ノア・ロビンズ/コリン・ウッデル/クリスチャン・ズーバー/ニック・ディレンバーグ/レイ・ロマノ/ウッディ・ハレルソン

「月面着陸の映像が実はフェイクだった」という陰謀論をネタに、NASAの広報として雇われたケリーと、アポロ11号の発射責任者コールのほのぼのとしたロマンスが描かれます。わりとライトなコメディタッチで進むから、ジャンルで分けるといわゆるロマコメ。で、ロマコメって聞くと一定数興味のない人もいそうじゃないですか。わたしもわりとそっちのほうには鈍感なため、最初からロマコメと知っていたらもしかしたら観なかったかもしれないなと思ったりもするのですが。

本作、ロマンスがメインであることは間違いなし。ですがベトナム戦争など当時の世情が随所にさしはさまれていたり、NASAが資金集めのためにコラボする車や時計の広告がレトロこの上なかったり。コミカルなお仕事ものとしても見ごたえがあるし、衣装や美術も凝っていて、とにかく切り口や見どころがとても多く、中でもわたしが楽しんだのは、70年代のNASAの内部やロケットの打ち上げを堪能できる宇宙科学モノとしての味わい。ところどころ実際の映像が差し込まれていたりもして、リアルに伝わる質感のようなものがとてもよかったです。

さすがに『カプリコン・1』みたいながっつりサスペンスを想像するとちょっと違うものが出てくると思いますが、ロマコメということで敬遠している人がいれば、それだけの内容じゃないのでとりあえず観て損はなさそうです。逆に宇宙にも70年代にも全然興味ないんですけどという人がいてもそこはそれ、とても魅力的なムチムチのスカヨハと、マッチョなのにパリピ感ゼロ、不器用で繊細なチャニング・テイタムの、いい意味でマンガみたいなほほえましい恋模様にドキドキすればいいんじゃないかなと。

何にせよ老若男女に関わらず、誰が観ても絶対に一定のレベルで楽しめそうな内容であることは間違いなし。最近はそんな映画はあまり見かけなくなってしまったから、ありそうでない汎用性もきっちり評価したい愛すべき作品です。

デッドプール&ウルヴァリン(大阪ステーションシティシネマ)

不治の病の治療のために受けた人体実験で、自らの容姿と引き換えに不死身の肉体を手に入れた元傭兵のウェイド・ウィルソンは、日本刀と拳銃を武器に過激でアクロバティックな戦闘スタイルのデッドプールとして戦いを続けてきた。戦う理由はあくまで超個人的なものだったが、そんな彼が世界の命運をかけた壮大なミッションに挑むことになってしまう。この予測不可能なミッションを成功させるため、デッドプールはウルヴァリンに助けを求める。獣のような闘争本能と人間としての優しい心の間で葛藤しながらも、すべてを切り裂く鋼鉄の爪を武器に戦ってきたウルヴァリンは、とある理由で、いまは戦いから遠ざかっていたが……。

引用:映画.com
原題:Deadpool & Wolverine/2024年/アメリカ/128分/配給:ディズニー/R15+
監督:ショーン・レビ/製作:ケビン・ファイギ ライアン・レイノルズ ショーン・レビ ローレン・シュラー・ドナー/製作総指揮:ルイス・デスポジート ジョージ・デューイ サイモン・キンバーグ ジョナサン・コマック・マーティン レット・リース ポール・ワーニック ウェンディ・ジェイコブソン メアリー・マクラグレン ジョシュ・マクラグレン/脚本:ライアン・レイノルズ レット・リース ポール・ワーニック ゼブ・ウェルズ ショーン・レビ/撮影:ジョージ・リッチモンド/編集:ディーン・ジマーマン シェーン・リード/音楽:ロブ・シモンセン
出演:ライアン・レイノルズ/ヒュー・ジャックマン/エマ・コリン/マシュー・マクファディン/モリーナ・バッカリン/レスリー・アガムズ/ステファン・カピチッチ/ブリアナ・ヒルデブランド/忽那汐里/カラン・ソーニ/ロブ・ディレイニー

まずは最初にわたしのアメコミ(マーベル)スキルについて書いていておくと、もともと90年代くらいからの映画作品はたいてい何らかの形態で鑑賞済み。『X-MEN』+関連シリーズ、『MCU』に関してはいずれも劇場でコンプリートしています。とはいえ最近のドラマはあまり真面目に追いかけていないし、原作本もほとんど読んだことないし。長く生きている分ダラダラと数だけはこなしているものの、かなりゆるめの視聴者です。

そんなわたしではありますが、本作はとても楽しみました。マルチバースを舞台に過去のキャラクターが続々登場というと『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ですが、これがわたしにとっては、まるで「過去の作品をなかったことにする」かのような展開に思えていまひとつ乗り切れず。比して本作は、作中でも言及される通り「過去があるから、今がある」という、(あくまでわたしの捉え方では)NWHと真逆を行くコンセプト。わたしとしてはそれだけで好ましかったし、熱心なファンであるとはいえなくても、懐かしいキャラクターたちの登場には心が躍りました。全編悪ふざけの楽屋オチな展開には賛否両論あるんでしょうが、デッドプールというキャラクターに『フリー・ガイ』のショーン・レヴィとなると、これくらいのノリになるのは最初から想定内。おもしろいだけじゃなくエンディングではうっかり涙腺も緩みましたし、わたし的には大満足、大いに満喫いたしました。

ただ気になったところもなかったわけじゃなく、ストーリーはさすがに雑。というか、TVAの仕組みがやっぱりちょっとややこしいし、アンカーっていうのも、それって他の世界からウルヴァリン連れてきたら解決すること? そういう設定増えまくって、今後影響だいじょうぶ?

気になることは多いです。ただまあ、デッドプールだから治外法権なのかもしれませんし、彼にはそういう障壁を力技でチャラにするパワーもあるわけで。ファンのはしくれとしては、これを機にMCUも持ち直して貰いたいもの。ただルッソ兄弟やロバート・ダウニー・Jr.の再登板など、最近の噂を伝え聞く限りやっぱりまだ迷走は終わらないのかしら? 気長に待つので、時間を掛けてじっくりよいものを作っていただきたいですね。