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2025年5月に配信で観た新作映画(2025年公開)の感想を書いています。
- アナザー・シンプル・フェイバー(劇場公開なし/Prime Video)
- サタデー・ナイト NYからライブ!(劇場公開なし/U-NEXT)
- ブルータリスト(U-NEXT)
- コンパニオン(劇場公開なし/U-NEXT)
画像:映画.com
すごくおもしろかった!!というのはこれといってなかったのですが、誰かにおすすめするなら『サタデー・ナイト NYからライブ!』。
ジェイソン・ライトマンはやっぱりこういうのが向いていると思う。
このあとネタバレがあります。気になる方はご注意下さい。
アナザー・シンプル・フェイバー(配信のみ/Prime Video)
ステファニー・スマザーズとエミリー・ネルソンは再会し、エミリーとイタリア人実業家との豪勢な結婚式が執り行われるイタリアの風光明媚なカプリ島へと向かう。しかし、そこには華やかな招待客たちに混ざり、招かれざる客もやってくる。入り組んだ殺人と裏切りが巻き起こり、ステファニーとエミリーの華麗な再会の先には、予想外の展開が待ち受けていた。
引用:映画.com
明るく陽気だけど、ちょっと人が良すぎて心許ないシングルマザー、ステファニーが、自由奔放でバリキャリのエミリーと出会い、それをきっかけに巻き込まれていくアクシデントによってどんどんたくましくなっていく……という前作『シンプル・フェイバー』の魅力だった部分がまったくなく(ステファニーはもう覚醒しているからね)、それに変わる「何か」もなく。
舞台となるカプリ島のロケーションと、70年代あたりのイタリア、フランス映画を意識した美術、2人の主人公が結婚式というシチュエーションのもと着こなす衣装こそ美しいものの、正直それ以外の見どころは……うーん、残念。でもヘンリー・ゴールディングがどうしようもないクズになり下がっていたのはちょっとおもしろかったです。
サタデー・ナイト NYからライブ!(配信のみ/U-NEXT)
1975年10月11日、午後11時30分。若手コメディアンとライターのハチャメチャ集団が、アメリカのテレビ界を激変させた。番組冒頭でおなじみのフレーズ「ニューヨークからライブ。サタデー・ナイト!」が飛び出すまでの90分間をリアルタイムで追い、伝説の一夜の舞台裏を描きだす。
引用:映画.com
さすがに脚色されていると思うけど、脚本はできてない、出演者のオファーも完了してない、しかも上層部は番組の失敗を願っていて……って。生放送スタート90分前にしてそんな状態のSNLの裏舞台を、長回し多めで臨場感たっぷりに描くアルトマン風味の群像劇です。
で、SNLのバックステージものとなると当然のことながらジョン・べルーシ、ダン・エイクロイド、チェビー・チェイス、ビリー・クリスタルら初期メンバー、さらには当時すでに大物だったコメディアン、アンディ・カウフマンやミルトン・バールが登場するのは想定内。個性の強すぎる人たちなだけに大丈夫なのか、違和感を感じたらお話に集中できないかも……と不安でしたが、これが無理に寄せることなく、でも観ていて「ああ、わかる、こんな感じ」と、言動やしぐさであくまで品よくその人らしさを体現することに成功していて好印象。熱狂的なファンとなるとわかりませんが、私レベルの『ブルース・ブラザース』好き、『マン・オン・ザ・ムーン』も観たよ、くらいのライト層なら全然引っかかることなく、楽しく観ることができました。
また本作は、お仕事ものとしても楽しくて。これだけの有名番組となると、当時立ち上げに関わった人たちへのオマージュも兼ねているのでしょう。それこそテレビ局上層部から末端の専門職の方(大道具さんとか衣装、メイクさん)に至るまでが、画面のそこかしこに総出演。そんな彼ら(一部を除く)ほぼ全員が番組を成功させることに向かって奔走するクライマックスには独特の疾走感があり、私自身がかつて放送業界にいたこともあってなかなかの高揚感を覚えました。
ブルータリスト(U-NEXT)
ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トートは第2次世界大戦下のホロコーストを生き延びるが、妻エルジェーベトや姪ジョーフィアと強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためアメリカのペンシルベニアに移住した彼は、著名な実業家ハリソンと出会う。建築家ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、彼の家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼。しかし母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には、多くの困難が立ちはだかる。
引用:映画.com
実話ならともかく、フィクションとなるとあまりにも「どうでもいい」お話……とまでは言いませんが、なんだろう。どうにもひとつひとつのエピソードが細切れっぽいというか。
前半こそサクセスストーリーの趣があって爽快なんだけど、後半は主人公ラースローがイマイチ何を考えているのか分からない。どんどん面倒臭い芸術家もどきになっていって、ついには「いや、そりゃハリソン(施主)も怒るでしょ」って、完全に共感できないところまでいってしまう。まあこのややこしいこだわりに関してはラストで種明かしがあったりもするのですが、なんだかなあ。映画自体が長いから、そこまで興味が続かなくていけません。さらにイタリアのくだりとか、そこでのハリソンのセクハラとかもいまいち唐突なんだよなあ。ここも実話だったら「本当にあったことだから」で流せるんだけど。
ただ映像と音楽はなかなか凄かったです。だからもし劇場で観ていたら、圧倒されて細かいところは気にならなかったかもしれない。でもやっぱり長いのよ。いくらインターミッションがあったとて、そもそもなかなかこれだけのまとまった時間は作りにくい。よほど好きな要素、引きつけられる要素がないと、なかなか劇場へ向かうまではいきません。賞レースにのっかってるとかも、基本興味ないしなあ。
コンパニオン(U-NEXT)
恋人のジョシュとともに、湖畔の別荘に向かうアイリス。車中で彼女は、これから休暇をいっしょに過ごす予定の、ジョシュの友人たちに会うことを気にしてやや緊張気味だ。別荘に到着すると、そこにはすでに4人の男女が。アイリスは最初こそぎこちないものの、やがて打ち解け、楽しい1日を過ごす。しかし翌日、思いがけない出来事が起きる。
引用:映画.com
方々での評価も高く、今をときめくソフィー・サッチャーの演技もいい。97分とコンパクトにまとまっているところも好印象だし、淡々としたテンポもまあまあ好み(気になるところもある)ではあるのですが。予告やあらすじでいちばん、というか、ほとんど唯一ともいえるサプライズな部分をバラしてしまったのはなぜなのか。これは日本だけじゃなく、北米での公開時もそうだったみたいなんだけど……うん、まったく解せないな。
お話のほうはというと、2022年公開のフェミニズム・ホラー『バーバリアン』を監督したザック・クレッガーが製作に名を連ねているということで、本作もそっちに近いテイストです。一方(ここから、先に書いた「サプライズ」の部分に触れますが)AIを搭載したセックスロボットが主人公ながら、SFの要素はアイデア程度。うっかり観る前に「サプライズ」部分に触れてしまった私はSFとして観はじめてしまったので、そのへんのガバッとしたところにはちょっと違和感を感じてしまったりもしましたが……たぶん本作に於いて、そこは重要な部分ではないのでしょう。
もうちょっと具体的に言うと、つまり。自我という本来とても複雑、多様かつ人間独特のものが、単純にイコール「知能」とされ、さらに数値化までされてボタンひとつで調整でき、そのことが物語に決着を付けてしまうって、さすがにSFとしてはちょっと雑。そもそもジョシュが設定をいじったことが発端で、となると結局このアクシデントは人災なのだから、自我が目覚めるなんていう設定ではなくて、ただの暴走でもいいくらい(まあ、それではフェミニズムのテーマが立ってこないわけだけど)。そんな微妙な引っかかりを残したまま後半延々と続く追いかけっこはややダルく、茶番のように感じたりもしましたが、先にも書いたようにソフィー・サッチャーは頑張っているし、ジャック・クエイドのクズッぷりはいつ観ても楽しいです。なのであまり細かいことは気にせず、SF、AIものというより、ちょっと悪趣味な大人の寓話みたいなスタンスで観た方がいいのかもしれません。