【2025年5月】配信で観た映画感想文『アナザー・シンプル・フェイバー』『サタデー・ナイト NYからライブ!』『ブルータリスト』『コンパニオン』(ネタバレあり)

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2025年5月に観た新作映画の感想を書いています。

  • アナザー・シンプル・フェイバー(劇場公開なし/Prime Video)
  • サタデー・ナイト NYからライブ!(劇場公開なし/U-NEXT)
  • ブルータリスト(U-NEXT)
  • コンパニオン(劇場公開なし/U-NEXT)

むちゃくちゃおもしろかった!!というのはこれといってなかったのですが、誰かにおすすめするなら『サタデー・ナイト NYからライブ!』

ジェイソン・ライトマンはやっぱりこういうのが向いていると思う。

オチに関わるネタバレは極力避けていますが、内容には触れています。気になる方はご注意下さい。
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アナザー・シンプル・フェイバー(配信のみ/Prime Video)

ステファニー・スマザーズとエミリー・ネルソンは再会し、エミリーとイタリア人実業家との豪勢な結婚式が執り行われるイタリアの風光明媚なカプリ島へと向かう。しかし、そこには華やかな招待客たちに混ざり、招かれざる客もやってくる。入り組んだ殺人と裏切りが巻き起こり、ステファニーとエミリーの華麗な再会の先には、予想外の展開が待ち受けていた。

引用:映画.com
原題:Another Simple Favor/2025年/アメリカ/122分/配信:Amazon Prime Video
監督:ポール・フェイグ/製作:ポール・フェイグ ローラ・フィッシャー/製作総指揮:ジェニファー・ブース ジェシカ・シャーザー マルコ・バレリオ・プジーニ/キャラクター創造:ダーシー・ベル/脚本:ジェシカ・シャーザー レータ・カログリディス/撮影:ジョン・シュワルツマン/美術:マーティン・ホイスト/衣装:レネー・アーリック・カルファス/編集:ブレント・ホワイト/音楽:セオドア・シャピロ/音楽監修:エリカ・ワイス/キャスティング:フィオナ・ウィアー
出演:アナ・ケンドリック/ブレイク・ライブリー/アンドリュー・ラネルズ/バシール・サラディン/エリザベス・パーキンス/ミケーレ・モローネ/エレナ・ソフィア・リッチ/ヘンリー・ゴールディング/アリソン・ジャネイ/アレックス・ニューウェル/ジョシュア・サティン/イアン・ホー/テイラー・オルテガ/ロレンツォ・デ・モール/アパルナ・ナンチェーラ/ケリー・マコーマック/ホームズ

明るく陽気だけど、ちょっと人が良すぎて心許ないシングルマザー、ステファニーが、自由奔放でバリキャリのエミリーと出会い、それをきっかけに巻き込まれていくアクシデントによってどんどんたくましくなっていく……という前作『シンプル・フェイバー』の魅力だった部分がまったくなく(ステファニーはもう覚醒しているからね)、それに変わる「何か」もなく。

舞台となるカプリ島のロケーションと、70年代あたりのイタリア、フランス映画を意識した美術、2人の主人公が結婚式というシチュエーションのもと着こなす衣装こそ美しいものの、正直それ以外の見どころは……うーん、残念。でもヘンリー・ゴールディングがどうしようもないクズになり下がっていたのはちょっとおもしろかったです。

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サタデー・ナイト NYからライブ!(配信のみ/U-NEXT)

1975年10月11日、午後11時30分。若手コメディアンとライターのハチャメチャ集団が、アメリカのテレビ界を激変させた。番組冒頭でおなじみのフレーズ「ニューヨークからライブ。サタデー・ナイト!」が飛び出すまでの90分間をリアルタイムで追い、伝説の一夜の舞台裏を描きだす。

引用:映画.com
原題:Saturday Night/2024年/アメリカ/109分
監督:ジェイソン・ライトマン/製作:ジェイソン・ブルーメンフェルド ピーター・ライス ジェイソン・ライトマン ギル・キーナン/製作総指揮:エリカ・ミルズ ジョアン・ペリターノ/脚本:ギル・キーナン ジェイソン・ライトマン/撮影:エリック・スティールバーグ/美術:ジェス・ゴンコール/衣装:ダニー・グリッカー/編集:ネイサン・オーロフ シェーン・リード/音楽:ジョン・バティステ
出演:ガブリエル・ラベル/レイチェル・セノット/コリー・マイケル・スミス/エラ・ハント/ディラン・オブライエン/エミリー・フェアン/マット・ウッド/ラモーン・モリス/キム・マトゥーラ/フィン・ウルフハード/ニコラス・ブラウン/クーパー・ホフマン/アンドリュー・バース・フェルドマン/カイア・ガーバー/トミー・デューイ/ウィレム・デフォー/マシュー・リース/J・K・シモンズ
さすがに脚色されていると思うけど、脚本はできてない、出演者のオファーも完了してない、しかも上層部は番組の失敗を願ってる……放送スタートの90分前にしてそんな状態のSNLの裏舞台を、長回し多めで臨場感たっぷりに描くアルトマン風味の群像劇です。
で、SNLのバックステージものとなると当然のことながらジョン・べルーシ、ダン・エイクロイド、チェビー・チェイス、ビリー・クリスタルら初期メンバー、さらには当時すでに大物だったコメディアン、アンディ・カウフマンミルトン・バールが登場するのは想定内。個性の強すぎる人たちなだけに大丈夫なのか、違和感を感じたらお話に集中できないかも……と不安でしたが、これが無理に寄せることなく、でも観ていて「ああ、わかる、こんな感じ」と、言動やしぐさであくまで品よくその人らしさを体現することに成功しておりまして。熱狂的なファンとなるとわかりませんが、私レベルの『ブルース・ブラザース』好き、『マン・オン・ザ・ムーン』も観たよ、くらいのライト層なら全然引っかかることなく、楽しく観ることができました。
また、お仕事ものとしても楽しかったです。最近は『セプテンバー5』『悪魔と夜ふかし』など、立て続けに70年代のテレビ番組のバックステージものが公開されていて、どれもそれぞれ楽しいのですが、それらと比べて本作がやや異なるのは「番組を作ることそのものが主体」のお話というところ。さらにこれだけの有名番組となると、当時立ち上げに関わった人たちへのオマージュも兼ねているのでしょう。それこそテレビ局上層部から末端の専門職の方(大道具さんとか衣装、メイクさん)に至るまでが、画面のそこかしこに総出演。そんな彼ら(一部を除く)ほぼ全員が番組を成功させることに向かって奔走するクライマックスは、私自身が放送業界にいたこともあってなかなかの爽快感でした。
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ブルータリスト(U-NEXT)

ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トートは第2次世界大戦下のホロコーストを生き延びるが、妻エルジェーベトや姪ジョーフィアと強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためアメリカのペンシルベニアに移住した彼は、著名な実業家ハリソンと出会う。建築家ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、彼の家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼。しかし母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には、多くの困難が立ちはだかる。

引用:映画.com
原題:The Brutalist/2024年/アメリカ・イギリス・ハンガリー合作/215分/配給:パルコ
監督:ブラディ・コーベット/製作:トレバー・マシューズ ニック・ゴードン ブライアン・ヤング アンドリュー・モリソン アンドリュー・ローレン D・J・グーゲンハイム ブラディ・コーベット/製作総指揮:カーター・スタントン アーロン・ヒメル ジョシュア・ホースフィールド マーク・ランパート オレグ・ノデルマン ヘザー・ノデルマン ノーマン・メリー ピーター・ハンプデン サイモン・バクスター オーウェン・マシューズ カイル・ストラウド スコット・レイク ローランド・リチャードソン エミリー・リチャードソン マーク・ギレスピー ロン・カーティス クラウディア・シュミエヤ=ロストボロフスカ トーマス・ピアース クリスティーン・ベイコン パメラ・コフラー ダビド・イノホサ/脚本:ブラディ・コーベット モナ・ファストボールド/撮影:ロル・クローリー/美術:ジュディ・ベッカー/衣装:ケイト・フォーブス/編集:ダービド・ヤンチョ/音楽:ダニエル・ブルンバーグ/音楽監修:ジェームズ・A・テイラー
出演:エイドリアン・ブロディ/ガイ・ピアース/フェリシティ・ジョーンズ/ジョー・アルウィン/ラフィー・キャシディ/ステイシー・マーティン/イザック・ド・バンコレ/アレッサンドロ・ニボラ

実話ならともかく、フィクションとなるとあまりにも「どうでもいい」お話……とまでは言いませんが、なんだろう。どうにもひとつひとつのエピソードが細切れっぽいというか。

前半こそサクセスストーリーの趣があって爽快なんだけど、後半は主人公ラースローがイマイチ何を考えているのか分からない。どんどん面倒臭い芸術家もどきになっていって、ついには「いや、そりゃハリソン(施主)も怒るでしょ」って、完全に共感できないところまでいってしまう。まあここに関してはラストで種明かしがあったりもするのですが、なんだかなあ。映画自体が長いから、そこまで興味が続かなくていけません。さらにイタリアのくだりとか、そこでのハリソンのセクハラとかもいまいちなんだよなあ。ここも実話だったら「本当にあったことだから」で流せるんだけど。

ただ映像と音楽はなかなか凄かったです。だからもし劇場で観ていたら、圧倒されて細かいところは気にならなかったかもしれない。でもなあ、やっぱり長いのよ。いくらインターミッションがあっても、なかなかこれだけのまとまった時間は作りにくいです。インド映画なんかも、本当はもっと劇場で観たいといつも思うのですが……。

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コンパニオン(U-NEXT)

恋人のジョシュとともに、湖畔の別荘に向かうアイリス。車中で彼女は、これから休暇をいっしょに過ごす予定の、ジョシュの友人たちに会うことを気にしてやや緊張気味だ。別荘に到着すると、そこにはすでに4人の男女が。アイリスは最初こそぎこちないものの、やがて打ち解け、楽しい1日を過ごす。しかし翌日、思いがけない出来事が起きる。

原題:Companion/2025年/アメリカ/97分
監督:ドリュー・ハンコック/脚本:ドリュー・ハンコック/製作:ラファエル・マーグレス J・D・リフシッツ ザック・クレッガー ロイ・リー/製作総指揮:トレイシー・ローゼンブラム ジェイミー・バックナー/撮影:イーライ・ボーン/美術:スコット・クジオ/衣装:バネッサ・ポーター/編集:ブレット・W・バックマン ジョシュ・イーザー/音楽:フリシケシュ・ヒルウェイ/音楽監修:ロブ・ロウリー/キャスティング:ナンシー・ネイヤー
出演:ソフィー・サッチャー/ジャック・クエイド/ルーカス・ゲイジ/ミーガン・スリ/ハービー・ギレン/ルパート・フレンド
方々での評価も高く、今をときめくソフィー・サッチャーの演技もいい。97分とコンパクトにまとまっているところも好印象だし、淡々としたテンポも大いに好みではあるのですが……。予告やあらすじでいちばん、というか、ほとんど唯一ともいえるサプライズな部分をバラしてしまったのはなぜなのか。これは日本だけじゃなく、北米での公開時もそうだったみたいなんだけど……うん、まったく解せないな。
お話のほうはというと、2022年公開のフェミニズム・ホラー『バーバリアン』を監督したザック・クレッガーが製作に名を連ねているということで、本作もそっちに近いテイストです。一方(ここから、先に書いた「サプライズ」の部分に触れますが)AIを搭載したセックスロボットが主人公ながら、SFの要素はアイデア程度。うっかり観る前に「サプライズ」に触れてしまった私はSFとして観はじめてしまったので、そのへんのガバッとしたところにはちょっと違和感を感じてしまったりもしましたが、たぶん本作に於いて、そこは重要な部分ではないのでしょう。
たとえば知能という本来とても複雑であるはずのものが、数値化されてボタンひとつで調整できるとか、その雑さといまいち相容れなさそうな「AIが自我に目覚める」という設定についてまったく掘り下げられないままだったりとか(そもそもジョシュが設定をいじったことが暴走の発端なのだから、自我が目覚めるなんていう設定はなくてもいいくらいだと思う。まあ、それではフェミニズムのテーマが立ってこないわけだけど)、微妙な引っかかりを残したまま後半延々と続く追いかけっこはややダルく感じたりもしましたが、先にも書いたようにソフィー・サッチャーは頑張っているし、ジャック・クエイドのクズッぷりはいつ観ても楽しいです。なのであまり細かいことは気にせず、SF、AIものというより、ちょっと悪趣味な大人の寓話みたいなスタンスで観た方がいいのかもしれません。
プライムビデオにて配信中。

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