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車と異なり、身体を守る外装が何もないバイクに乗る際、プロテクターはとても大切なアイテムです。
ヘルメットと違い、法律で定められた着用義務はありませんが、私は必ず着用しています。
ですがここで問題となるのが、男性と比べて女性のプロテクター選びの選択肢の狭さ。
特に男性と決定的に形状の異なるチェスト(胸部)プロテクターについては、数が少ない上にしっくりくるものがなく、かなり選ぶのが大変でした。
いろいろ試してなんとか現在のスタイルに落ち着きましたが、正直100%満足できる状態ではありません。
ですが現時点ではこれが最適解と考えているので、当記事ではそこに着地するまでの試行錯誤と、今現在使用しているプロテクターについてまとめました。
あくまで私の身体や装着感を主観的に紹介する内容となっていますので、すべての人に当てはまるとはいえませんが、自分にしっくりくるものをお探しの方に、何らかの形で参考になれば幸いです。
チェスト(胸部)プロテクターの必要性
いろいろなサイトやブログで引用されているデータではありますが、あらためて。
二輪車乗車中の事故における主な損傷部位、胸部は頭部についで2位の多さ。
それなのに、
胸部プロテクターの着用率はというと、年々少しづつ上昇してはいるものの、まだまだ10人に1人も着用していないという現実。
もちろん義務ではないので、付ける付けないは個人の自由です。
ですが、いくら気を付けていても、事故はある日突然貰ってしまう、あるいは巻き込まれてしまうもの。
そんなとき、たとえ命を落としたり、重篤な後遺症が残るほどの大きな事故ではなくても、
- 仕事を休まなくてはならなくなり、周囲に迷惑を掛けてしまう
- 大切な人に心配を掛けてしまう
こういった事態に陥るリスクは、極力低くしておきたいですよね。
それが大人が危険を伴うアクティビティを趣味とするときの、最低限のマナーだと思うのです。
女性の胸部プロテクターはとりわけ選択肢が少なく、自分に合うものが探しづらいですが、当記事をきっかけに、ぜひ「これなら使えるかも」というものを見つけてもらえればと思います。
チェスト(胸部)プロテクターの種類とそれぞれのメリット、デメリット
チェストプロテクターには、ざっくりと分けて以下のような種類があります。
- 一体型(1枚の板状で、スナップやマジックテープでジャケットに固定して使用)
- セパレート型(左右2パーツに分かれており、スナップ、マジックテープで固定、もしくはジャケットの胸ポケットに入れて使用)
- ベスト・ハーネス型(ジャケットの下に着用して使用)
私はチェストプロテクターを購入する際、何軒かのバイク用品店に通い、可能な限り試着をしました。
ここからは各商品について、私自身が感じた具体的な印象を書き留めていきます。
ちなみに私の一般的なお店(ユニクロなど)でのトップスのサイズはS、やや痩せ型ですが標準的な体型だと思います。
一体型
1枚の板状となっており、スナップやマジックテープでジャケットに装着するタイプです。
このタイプのメリットとデメリットは、
- みぞおちや、ものによっては腹部、脇部分まで守ることができる
- スナップやマジックテープがついているジャケットにしか使えない
- 身体に合っていないと圧迫感を感じたり、シルエットが不自然になりやすい
- ジャケットの脱ぎ着の際、別途着脱が必要
たとえばこちら。
一般的なバイク用品店でもかなりの確率で取り扱いのある、おそらく唯一の一体型レディースモデルです。
CE規格のレベル2を取得しており、安全性に関しては問題なし、さらにメーカーの売りは軽量さとのこと。
多くのバイクジャケットで採用されているチェストプロテクター用のスナップで固定するタイプとなっており、ジャケットにスナップがない場合は、別売りのハーネスに装着して使用することもできます。
というわけで、さすがRSタイチ。
私が当時着用していたジャケットにはスナップはなかったのですが、これならハーネスにも対応していて至れり尽くせりじゃないですか。
初っぱなから、もうこれで決まりなんじゃない?
わりといいお値段がするのですがユーザビリティの充実ぶりと安全性には代えられず、思わず即決しそうになるのですが…。
念のため試着してみたところ、
- 思いのほか幅が狭く、脇がまったく保護されない
- 軽いが分厚く、どうしても目立ってしまう
- ごついのにカップそのものは浅めで、若干の圧迫感がある
とりわけ圧迫は、長時間の装着に耐えられるかどうか不安が払拭できず諦めました。
ですが保護されている部分についての安心感はじゅうぶんだったので、もう少しお値打ちなら、さらによいものが見つかるまでの繋ぎとして購入していたかもしれません。
こちらは相方くんが普段使っているものです。
衝撃吸収材D3Oを使用しており、CE規格はレベル2を取得。やや重くかさばるサイズですが、脇から腹部までしっかりカバーしてくれます。
性能としては問題なく、公式サイトに男女兼用とあっため、とりあえず試着してみたのですが……。
無理!!!!
これは体型に関わらず、おそらく女性にはフィットしません。
柔らかいので(カップなしでも)大丈夫とのことのようですが、同時に変形するのは縦か横、一方向のみ。複雑で丸みのある女性の身体に対応出来るほど、柔軟には対応してくれません。
圧迫感も不快で、やはり女性が着用するためにはしっかりとしたカップが必要です。
ですがそこさえクリアしてもらえたら、安全性は盤石なので高価でも検討すると思います。
セパレート型
左右、ふたつのパーツに分かれたタイプです。
ジャケットに装備された胸ポケットに入れるタイプと、スナップで固定するタイプがあります。
このタイプのメリットとデメリットは、
- パーツが分かれている分、フィットしやすく見た目が自然になる確率が高い
- ジャケットと一緒に着脱できるものが多い
- コンパクトに保管できる
- ハンドルなどで打ちやすいみぞおちがノーガードとなる
- ジャケットの胸ポケットには規格がないので、ぴったり合うものが探しにくい
こちらはコミネ製のレディース用ですが、
CE規格レベル2は優秀です。
基本はスナップで固定するタイプですが、胸ポケットタイプでもサイズが合えばスナップがないジャケットでも使えます。
ですが私はみぞおちがカバーできないことが気になって、セパレートタイプは選択肢に入れていませんでした。
サンプルもなかったため、試着もしていません。
よって着用感、シルエットについては何とも言えないのですが……。
コミネ製だけあってお手頃価格なのでとりあえず購入してみるという選択肢も採用しやすいところが魅力的です。
ベスト・ハーネス型
ジャケットとは独立しており、ジャケットの下に別途着用するタイプです。
このタイプのメリットとデメリットは、
- どんなジャケットにも対応する
- ハーネス型、ベストやインナー型、脊髄プロテクター付き等々、バリエーション豊富
- 着脱が手間
こちらは脊髄プロテクターと一体になったハーネス型です。
女性用バイクアパレルの専門メーカーということで大いに期待したのですが、バストトップが不自然な平面にカットされているのが気になるところ。
着込む冬場は目立ちませんが、一般的なライダースジャケットの下だとなんだかシルエットがおかしいです。
こちらのブランドからは、ブラトップのような形状の着るタイプのプロテクターも出ていますが、それも同じくバストトップが平面になっています。
なぜ平面……。
私はどうしても気になってしまいましたが、普段ゆったりめのアウターを着る人ならそんなに気にならないかもしれません。
こちらのブランドは取扱店が多く試着もしやすいので、気になる方はぜひご自身で試してみてください。
続いてコミネ製、脊髄プロテクターが着いたタイプ。
バストの形状は私の身体には比較的合いましたが、腰の辺りが余り過ぎるのと、背中の脊髄プロテクターがかなりいかつい。
ぴったりめのライダースの下に着込むのは難しく、脊髄プロテクターもすでにHYODのものを持っていたため、購入は見送りました。
こちらはベスト型です。
セパレートタイプのプロテクターが伸縮性に富んだ素材に縫い付けられており、ゆったりめのロンTやパーカーの下に、目立たないように着たい場合におすすめです。
脊髄プロテクターはついていないので、別途準備する必要があります。

というわけで、いろいろ試してみた結果
私が最終的に購入したのがこちらです。
残念ながら「これだ!」とひらめくレベルのインスピレーションを感じたわけではないのですが、とにかく色々見てまわったあと、いい加減決めなければと思い消去法で選びました。
他の商品にくらべてよいと思ったのは、
- 完璧とは言えないが、みぞおちが保護できる
- 脇も他の商品よりはフォローしてくれる
- パッドがひとつながりではなく左右に分かれて設計されているため、試着した中ではシルエットに違和感がない
- 軽い
- 安い
ですが、
- 着脱が面倒くさい
- しっかり固定したつもりでも、長時間付けていると肩のベルトがずれてプロテクターが固定されない
などなど、使いはじめてほどなく気になるところがいくつか出てきてしまい……。
仕方がないので魔改造を施すことになりました。
画像ではわかりづらいかと思いますが、ハーネス型から一体型にジョブチェンジさせた感じ。
具体的には、
- ベルト部分を切り離し、胸の部分にマジックテープを取り付けてジャケットに固定出来るようカスタム
しています。

近くで見るとどうしてもハンドメイド感が漂いますが、着用時見えるものではないのでスキルは強度に全振りしており、
- プロテクター側には縫い付けタイプのマジックテープを瞬間接着剤で接着
- さらにマジックテープの周囲をグルーガンで補強
- ジャケット側のマジックテープは手縫いで縫い付け
わざわざ縫い付けタイプのマジックテープを瞬間接着剤で付けるという手間を選んだのは、成分の分からないマジックテープの接着剤が水分や体温でネチョってきたら嫌だったから。
瞬間接着剤は水に強いものを使い、接着剤を付けること自体に抵抗があったジャケット側は手縫いで取り付けました。
ジャケット装着時はこんな感じです。

若干厚みが出るのは仕方がないとして、そこまで不自然な着用感はありません。
これで2年以上使用していますが、走行中はもちろん、装着したまま徒歩移動をしても、ずれる、落ちるなどのアクシデントもなく、快適に使用できています。
もちろんこの方法は、メーカーが想定している使用法ではないため、万人におすすめできるカスタマイズではありません。
ですが、男性用のプロテクターの中にはマジックテープで固定するタイプのものもあるので、私は問題なしと判断して採用しています。
おわりに
プロテクターの中でも、特にチェストプロテクターは男性用を流用することも難しく、女性は限られた選択肢から使えそうなものを選ぶしかありません。
ですがとにかく種類が少ないので、どれもフィットしないこともあるでしょう。
特にずれるなどで安全性に不安が残ったり、運転中気が散るレベルで違和感が気になる場合は、少しだけ手を加えて使いやすくするのもアリだと思います。
とにかく避けたいのは、
- 煩わしさや不快感から使わなくなること
安くてもいいし、大げさなものでなくてもいいのです。
まずはひとつ、自分が使い続けられそうなものを見つけてください。
その際、当記事が参考になれば幸いです。


