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レッキング・クルー(Prime Video)
ハワイで家族と暮らす海軍中佐ジェームズは、父の事故死をきっかけに、過去の確執から長い間疎遠になっていた異母弟ジョニーと再会する。父の死に不審な点があることに気づいたジェームズとジョニーはそれぞれ独自に調査に乗り出すが、武装集団や日本のヤクザたちに次々と襲撃される。やがて兄弟は事件の裏にある陰謀が隠されていることを知り、壮絶な戦いに身を投じていく。
引用:映画.com
ストーリー自体はありふれている。クライムものとしては、中盤にはある程度先の展開が読めてしまうし、対照的な性格で確執のある兄弟の人間ドラマも型通りである。なのに観終わったあとは、妙に気持ちのいい映画だった。
これはおそらく、本作の舞台であるハワイやストーリーに深く関わるアジアの風俗が、製作にも名を連ねる主演の2人、ジェイソン・モモアとデイヴ・バウティスタのルーツに深く関わっているからじゃないかと思う。つまり自分たちの文化を前に出した作品が作りたいという、ずっとやりたかったことをすごく楽しんでやっている。それが『ブルービートル』でヒスパニックのファミリーを魅力的に描いた、アンヘル・マヌエル・ソト監督の温かみのある演出ともマッチしていた。
ロケーションがハワイなら、アジア味は主にアクションで発揮されている。このあたりはバウティスタの得意分野だろうか。日本からはMIYAVIが参戦していたが、アクションパートもみんな楽しそうで、それが観ていて伝わってくる。
目新しさはないが、主演2人のファンはもちろん、そうじゃなくてもスカッとしたさわやかなアクション映画をサクッと楽しみたい気分の時は、誰にでもおすすめできそうな佳作だと思った。
Rip リップ(Netflix)
廃墟と化した古びた隠れ家で数千万ドルもの現金を発見した、マイアミ警察の警官たち。その金額の大きさが外部に知れ渡ると、あらゆることに疑いの目が向けられ、警官たちも誰を信用していいのかわからなくなっていく。
引用:映画.com
アメリカでは(日本でもそうかもしれない)、麻薬取引の現場などで現金を押収した際、どういう状況でも必ずその場で、すみやかに金額を確認しなくてはならないそうだ。それは考えてみれば当然のことで、とにかく不特定多数の人間が現金に触れる前に、正確な金額を把握しておく必要があるのだろう。ただ、この映画のベースとなっている実話で見つかったのは、2400万ドル(日本円にして300億以上)という前代未聞の大金。数えると言ったって何時間かかるのさ、という量だし、それを捌くのは常日頃から組織の処遇に(主に金銭的な)不満を抱えている刑事たち。しかもその中には裏切りものもいるらしく……。
ひたすら続く金勘定に、裏切り者が存在するという不安感。しだいに倫理観が揺らぎ、疑心暗鬼に取り憑かれはじめる刑事たち。なんとか裏切りものをあぶり出そうと、知恵を絞る主人公。彼らの緊張感を濃厚に孕んで展開する前半は、画面は暗く動きも控えめで地味ではあるが、それだけにゴールデンコンビ(マット・デイモンとベンアフ)はもちろん、それ以外のキャスト(テヤナ・テイラーやスティーブン・ユアン)も含めてかなり見ごたえのある芝居が堪能できる。密室で交わされる会話から、彼(彼女)らが次第に疲弊していくようすも分かるし、プライベートで抱える事情がだんだん明かされていくのも飽きずに引きつけられるポイントだ。
でもそれだけで2時間引っ張るのはさすがに躊躇われたのか、後半から一気にアクション映画的要素が強くなる。その舵の切り方が私としてはやや唐突に感じてしまい、しばらくのあいだ戸惑ってしまった。ジョー・カーナハン監督なのでアクションそのものはスタイリッシュでキレッキレ(90年代風)。瞬時に頭を切り替えれば、しっかり楽しめるクオリティなのだが……欲を言えばアクションは、そこまでの渋めの人間ドラマに合わせてもう少し泥臭くてもよかったんじゃないかという気がしている。
プリティ・リーサル(Prime Video)
名門バレエコンテストに向かう5人のバレリーナを乗せたバスが故障、人里離れた森の中で立ち往生してしまう。仕方なく近くで見つけた不気味な宿に身を寄せるが、 そこは元バレリーナだという怪しい女主人が経営するギャングたちの巣窟だった。ピンチに陥った5人は、バレエで培った身体能力と技術力でピンチを切り抜ける計画を立てる。
序盤が鈍重なわりには話運びが強引でいきなりダレるが、話が進むにつれておもしそこそこおもしろくなる。配信映画は出だしがダルいと視聴をやめてしまいがちだが、これに関しては頑張って最後まで観てよかった。
バレエスキルでマフィアと戦うという素っ頓狂なアイデアは、さすが87North Productionsn製作だけあって(バレエに詳しい人が観たらどうなのかは不明だが)楽しめるものになっていた。メインキャスト全員に大なり小なりバレエやダンスの素養があって、ある程度のことまで自分でできているのが分かることも見ごたえにつながっている。舞台で踊るクライマックスを筆頭に、随所に散りばめられた「ダンスのように」アクションをするシーンも美しかったが、個人的には狭いところに身体を折りたたんで潜伏するシーンと、トゥシューズに刃物を仕込んでの首チョンパがお気に入りだ。
あとダンスのスキルも去ることながら、主演のマディ・ジーグラーの存在感もとても良かった。普段はダンサーとしてのお仕事が多いみたいだけど、雰囲気的にもホラーやアクション映画で光りそうなので、今後俳優業が増えると嬉しい。
最後、車もあるのに盗んだバイクで走り出しちゃうところは笑った。でもやっぱりあのブチ上がる感覚は車では出せない。戦いの中で構築されたシスターフッドの熱さも、タンデムだからこそ伝わる微笑ましさがある。
80年代のシルベスター・スタローン主演映画に『コブラ』というちょっとアレな映画がある。どうしようもなくしょうもない映画だが、ラスト、スタローン扮するコブレッティ刑事が、助けたヒロインと一緒にFXRで走り去っていくシーンは、同作のピザをハサミで切るシーンと併せて3年に1回くらい観たくなる。バイクで走り出すエンドの映画は、それだけで高評価となるのである。
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