ドラマ『チャッキー シーズン1』感想 序盤からフルスロットル!ご新規様にもおすすめです(ネタバレあり)

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あらすじと作品情報など

14歳のジェイク・ウィーラーは、現代アートの展示に使うため、郊外のガレージセールでヴィンテージのグッド・ガイ人形“チャッキー”を購入する。しかし、チャッキーが次々と奇妙な出来事を引き起こし、一連の出来事によってジェイクが疑われ始める一方で、チャッキーは街中で衝撃的な殺人を繰り返し始める。そんな中、ジェイクはチャッキーに連続殺人犯チャールズ・リー・レイの魂が宿っていることを発見する。そして、次第に平穏な田舎街に隠された、忌まわしい“ある秘密”が明らかとなっていく。チャッキーはいかにして伝説の殺人ドールになったのか?ついにその真実が暴かれる!
引用:filmarks
原題:Chucky/2021年/アメリカ/全8話/41分~54分
製作総指揮/脚本:ドン・マンシーニ
出演:ザッカリー・アーサー/ビョルグヴィン・アルナルソン/アリヴィア・アリン・リンド/テオ・ブリオネス/ブラッド・ドゥーリフ/カリーナ・バトリック/クリスティーン・エリス/デヴィッド・コールスミス/ジャナ・ペック/アレックス・ヴィンセント

予告編とざっくり概要

みんな大好きチャッキーがドラマになって帰ってきました!

今回のドラマは2019年のリブート版の続きではなく、チャッキーの産みの親、ドン・マンシーニががっつり脚本を手掛けた、オリジナルの続編となります。

日本では2022年6月から、Huluで配信されています。わりと前なんですが、わたしはHuluは常時契約していなかったこともあり、時間が確保できるようになったら観ようと思いつつ、もたもたしているうちにこんな時期になってしまいました。ずいぶん遅くなってしまいましたが、このたびようやく完走しましたので、いまさらですが感想を書きとめておきます。

ちなみに本作、これまでのシリーズを観ていなくてもわりと大丈夫。一応シリーズ7作目『チャイルド・プレイ チャッキーの狂気病棟』から地続きのドラマではあるのですが、これまでのストーリーや登場人物については、登場のたびにある程度の説明が入ります。 もちろん、観ていたほうがわかりやすいのは間違いないのですが、地上派での映画の放送も減ってしまった現在、チャッキーに触れる機会のなかった若者に過去作7本をすべて観ろというのはさすがに酷。できれば1作目くらいは観ておくといいとは思いますが、敢えてここから入るというのも全然アリです。

細かいことを気にせず完走するもよし、途中で気になるキャラクターがいれば、その時点で遡って観るもよし。 とにかく、シリーズをコンプしていないという理由でドラマを観ないのはもったいない。躊躇しているならとりあえず観てみましょう。おもしろいから!

これまでのシリーズについては、こちらでまとめています。

感想(ネタバレ注意)

※以下ネタバレあります。

今回はジュブナイルものです

これまでも何作かごとに主人公が交代してきた同シリーズですが、今回の主人公は14歳の少年、ジェイク。チャッキーの聖地、ハッケンサックに住む彼は、人形を使ってアート作品を作るのが趣味の内気な少年で、ゲイであること、2人暮らしの父親がそのことを受け入れられず、関係がうまくいっていないこと、学校でいじめられていること、などが1話にして明らかになります。ちなみに、ジェイクがチャッキーを手にしてしまうのは、町のバザーで売られていたから。彼はアート作品に使うため、普段から人形を集めているんですね。

というわけで、ティーンが主人公となるのは、本シリーズの過去作にはないシチュエーション(『チャイルド・プレイ3』アンディはティーンでしたが、舞台が普通の学校じゃなかったからかあんまりピンとこない)。期待は高まるところですが、ホラー映画+ジュブナイルというのはあまりにも昨今のトレンドで。何ならもうピークは過ぎたかなという感もあったため、果たして楽しめるだろうかと若干不安になったところもあったのですが、蓋を開けてみればなんのことはない、めちゃくちゃおもしろかったです。

おもしろさのポイントとしては、とにかくベースとなるジュブナイルの部分がよく出来ているということ。基本的には王道なんですが、よい意味で先が読みづらい特にジェイクが、最終的には誰とチャッキーに立ち向かうのか、何人か登場する子供たちとどういう相関図を描いていくのかが、わりと進まないと見えてこないんです。 それでいて途中だれないのは、毎回気の赴くままに人を殺したり、その気の赴くままに人を殺してきた過去を妙に牧歌的な回想で語ってくれるチャッキーの存在も大きかったりするのですが、やはりキャラクター全員の造形がものすごく絶妙だから。ジェイクをはじめ、そのほかの登場人物が、なかなか親交を深めない、もしくは深められない理由が、ちゃんと説得力を持って描かれているところが大きいんじゃないかなと思います。

もちろん思春期の子供たちが問題を抱える一因には大人の影響も大きいわけで、そこも含めてのキャラクター造形も秀逸。しかもそんな序盤を経ていよいよ事態が深刻になったとき、手を組むコンビはというと…。 ちょっと驚かされるんです。え、君と君なの? みたいな。しかも大いにあぶなっかしい、かなり意外な凸凹コンビ。

こういうジャンル映画において、想像通り(ある程度王道)なのに期待を超えてくる展開ってとても大事なこと。正直、チャッキーという安定人気のファンタジックなキャラクターに頼れば、もめごとやすれ違いを引き起こすのはとても簡単。でも本作ではそこに頼りすぎず、思春期を迎えた子供たちの抱えるさまざまな問題、大人たちとの関係、さらには子供たちときちんと接することのできない大人たちの事情、身勝手さ、固定観念に至るまでをちゃんと描いています。 ドラマであれ映画であれ、こういうジャンルものはある程度流れが決まっているからこそ、物語をちゃんと作り込むことって本当に大切で。それがきっちり出来てはじめて、彼らがチャッキーの思うつぼとなっていくことも納得できるし、あまつさえ人形が人を殺すというバカバカしさについても「こわ!」という感覚を抱けるのかもしれません。

一方その頃、チャッキーは

あの『チャイルド・プレイ』シリーズがドラマになったぞ、と聞いて、「観たい」と思う人が観たいのは、間違いなくチャッキーでしょう。よく知らない新キャラの、ドラマの部分なんかどうでもいいんだよという人も少なくはないというか、むしろ多いくらいかもしれない。そんな人の気持ちも、今作はちゃんと満たしてくれます。安心してください。

チャッキー シーズン1

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チャッキー、1話こそ若干おとなしいものの、2話以降はよくしゃべるよく殺すの通常営業。あと顔を洗剤で拭かれたり、頭にお菓子の粉を落とされたり、人形ゆえにされるがままになってしまい、あとで腹いせにやった人間を殺すという、おなじみのみんな大好きなギャグもしっかりある。 さらに今回本筋と平行して描かれるのが、チャッキー…ではなく殺人鬼チャールズの過去。シリーズ第6作『チャイルド・プレイ 誕生の秘密』で扱われた過去よりももっと前、それこそチャールズがはじめて人を殺したエピソードから、施設で過ごした少年期、さらにはその後の青年期がじっくりと描かれます。

このあたりはチャッキーの回想という体を取っているのですが、60年代、70年代が舞台となっていることからルックも本編とは異なり、なかなかのコッテコテ。画角も変わるし、この時代のビジュアルやカルチャーが好きな人にもたまらないと思います。青年期に入ってからはエクストリームな味わいも増していくため、若干の『チャッキーの花嫁』や『チャッキーの種』っぽいエログロ感も出てきて、このあたりは尖った感じが好きなファンに向けての、ライトなサービスにもなっているのかも。

さらにこういったエピソードが、チャッキーの今回の目的ひとつ「ジェイクをそそのかして殺人を犯させたい願望」を持つに至ったきっかけを紹介していたり、シリーズ6作目でうやむやになってしまっていた、ティファニーとの過去の関係を強調していたり、ちゃんと必要性のあるものとなっていて、いわゆる「接待感」は薄め。これはわたしにとって、昨今のジャンル映画では度々ノイズになることも多かったので、かなり好感度が高かったです。

その他、見どころは多くバランスも絶妙

後半にかけては、チャッキーの最終目的が明らかとなり、ティファニー、ニカ、アンディ、カイルと懐かしいメンバーが懐かしい土地に大集合。全員がオリジナルキャストということもあって、ファンにとってはアガる要素となっています。ドラマから入った人にとっては若干「???」かもしれませんが、先にも書いた通りなんとなくの説明は入るし、そもそもこのあたりのメンバーは、今回は顔見せ程度のポジションです。つまり、そんなにメインのドラマには絡んでこない。

これはもしかしたら作り手の意図的なバランスで「この先は彼らががっつりお話に関わってくるから、映画観てない人は、シーズン2までに観ろよ」っていうことかな、なんて思ったりもするのですが、すでに海外では配信されているシーズン2の雰囲気を遠くからうっすら窺っている感じでは(ネタバレしたくないので、じっくりは調べていません)、シーズン2も新旧のキャラクターのバランスは今回くらいなのかなという感じ。 だから無理に観なくてもいいのかもという気はしているのですが、みんな魅力的だったよね? ストーリーもおもしろかったでしょ? ドラマを観た、あるいは興味があるなら、すでにHulu入ってる、もしくは入ろうと考えているんだから、だったら『チャッキーの花嫁』以外はサクッと観れるってことじゃん。観るしかないじゃん!

『チャイルド・プレイ』はとにかくキャラとしてのチャッキーが濃いということもあって、わりとネタにされて終わりがちです。でもわたしは、35年に及ぶ歴史の中で制作された全7作、プラス今回のドラマも含めて(ごめんなさい、ここでは2019年版はカウントしません)、本シリーズは面白さのベクトルは多彩ながら、いわゆるハズレは1本もない希有なシリーズだと思ってます。だから無理にとは言わないが、興味がある人はぜひ観よう。観て、もう一度ドラマを見直して、細部を味わいつつ、そろそろ来るだろう日本でのシーズン2に向けて、盤石の体制を整えていただきたい。ぜったい公開することはないと思いますよ!

これまでのシリーズの詳細や、観る順番は知りたい方は、こちらをどうぞ。