【2024年11月】映画感想文『ロボット・ドリームズ』『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』『ドリーム・シナリオ』他全7本(ネタバレ)

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2024年11月に観た新作映画の感想を書いています。

自分のための覚え書き的なものなので、ごく簡単なメモのような内容ですがご了承ください。

ラインナップはこちらです。

  • スパイダー 増殖(テアトル梅田)
  • ロボット・ドリームズ(テアトル梅田)
  • グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(大阪ステーションシティシネマ)
  • ドリーム・シナリオ(大阪ステーションシティシネマ)
  • ルックバック(配信/Prime Video)
  • ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ(配信/Prime Video)
  • RHEINGOLD ラインゴールド(配信/Prime Video)

11月はちょい少なめです。見逃しもありましたが、劇場公開の本数も少なかったような気がします。特に洋画。

劇場で鑑賞したタイトルは、ジャンルや方向性はバラバラだけどすべておもしろかったです。

特に『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』はひさびさにいろいろ特盛りなザ・ハリウッドムービー。リドリー・スコット、やっぱり好きだわ!!

オチに関わるネタバレは極力避けていますが、内容には触れています。気になる方はご注意下さい。
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スパイダー 増殖(テアトル梅田)

パリ郊外のアパートで暮らすエキゾチックアニマル愛好家の青年カレブは、珍しい種類の毒グモを手に入れる。心配する店員をよそに自信満々でクモを自宅に持ち帰ったカレブは、一時的にスニーカーの空き箱にクモを入れておくことに。スニーカーの転売で日銭を稼ぐカレブは、同じアパートの住人トゥマニにスニーカーを売るが、その直後、トゥマニは原因不明の突然死を遂げる。警察は未知のウイルスが発生していると判断して建物を封鎖し、住民たちは閉じ込められてしまう。一方、カレブのもとから逃げ出した毒グモは驚異的なスピードで繁殖していき、住民たちを襲いはじめる。

引用:映画.com
原題:Vermines/2023年/フランス/106分/配給:アンプラグド
監督:セバスチャン・バニセック/製作:ハリー・トルジュマン/脚本:フローラン・ベルナール セバスチャン・バニセック/撮影:アレクサンドル・ジャマン/美術:アルノー・ブニョール/編集:ナッシム・ゴルジ・テラーニ トマ・フェルナンデーズ/音楽:ダグラス・カバナ グザビエ・カウクス
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ/グレン・パウエル/アンソニー・ラモス/ブランドン・ペレア/キーナン・シプカ/デビッド・コレンスウェット/モーラ・ティアニー/サッシャ・レイン/ハリー・ハッデン=パットン/ダリル・マコーマック/トゥンデ・アデビンペ/ケイティ・オブライアン/ニック・ドダーニ/ポール・シェアー
スティーブン・キングやサム・ライミらホラーレジェンドが絶賛したというだけあって、なかなか見ごたえのある作品でした。団地内で毒蜘蛛が逃げ出してさあ大変、というとてもシンプルなお話なのですが、観せ方がうまいのかとにかくこわいのです。どんどん増えるあたりはよくよく考えたらありえないんですけど、テンポよくショッキングな絵が続くので観てる間はひっかからない。登場人物は癖強で、共感できるかというと微妙ですが無軌道な若者らしいリアリティはちゃんとあるし、主題として織り込まれたフランスらしい社会風刺の絡め方も絶妙です。メッセージ性が強いせいでホラー要素がおざなりになってしまうようなこともなく、とにかくうまく作られていました。
ただ、毒蜘蛛ということでバイオレントな描写は控えめです。どちらかというと生理的な不快感や逃げ場がないというスリラー的な怖さがメインとなっているので、そこは期待されませんよう。ちなみにわたし、わりと虫は平気なほう。でもこわかった。だからダメな人はかなりキツイと思う。自覚のある人は気を付けてくださいね。



ロボット・ドリームズ(テアトル梅田)

ニューヨーク、マンハッタン。深い孤独を抱えるドッグは自分の友人にするためにロボットを作り、友情を深めていく。夏になるとドッグとロボットは海水浴へ出かけるが、ロボットが錆びついて動けなくなってしまう。どうにかロボットを修理しようとするドッグだったが、海水浴場はロボットを置いたままシーズンオフで閉鎖され、2人は離ればなれになってしまう。

引用:映画.com
原題:Robot Dreams/2023年/スペイン・フランス合作/102分/配給:クロックワークス
監督:パブロ・ベルヘル/製作:パブロ・ベルヘル/脚本:パブロ・ベルヘル/原作:サラ・バロン/アニメーション監督:ブノワ・フルーモン/編集:フェルナンド・フランコ/音楽:アルフォンソ・デ・ビラジョンガ
昨今のアニメーションの潮流に反する超シンプルな絵柄にせりふなし。なのに異常なほど評判が高かったので自然とハードルの上がった状態での鑑賞となりましたが、いやよかった。すごくよかった。EW&Fの『SEPTEMBER』もいいし、70年代後半くらいのNYのロケーションもわたしが子供のころすごく憧れたアメリカって感じだし、サイレント映画や『オズの魔法使い』など古典へのオマージュも楽しくて、もうそれだけでずっと観ていたい気分に。
お話もよかった。ロボットと犬という組み合わせで、性別も人種も何なら関係性も特定されないことが見どころのひとつとして紹介されているけど、たとえばこれが異性愛者同士の恋愛だったとしても、性別がぼかされていること自体がなんとも心地よさを喚起するというか。わたしはパートナー選びに関して、基本的には人種も性別もなんでもいいよね、男女でも男同士でも女同士でも……ってずっと思ってきたはずなんだけど、そもそもそんな分類じたいが邪魔なんだよなということにあらためて気付いたという感じ。ふたりが離れ離れになる状況も、個人の力ではどうしようもない分断みたいなものも想起してしまったり。
ラストも大人なんだよねえ。どちらも過去を愛おしみつつ、でももう終わったことと割り切ってるのがいい。ちゃんと次のステップを踏み出して、今大切な人と幸せになろうとしていて。だからこそ相手の幸せを願えるんだよね。結末は一見ビターではありますが、そこには恋愛もののロマンチシズムとかじゃなく、後にも先にも続いていく人生の寓話めいた深みがありました。わたし的にはぜひこれ、『パストライブス 再会』のノラとヘソンに見ていただきたい。ちゃんと今隣にいる人を大事にしろよ、大昔のこと引きずらず前向いて生きろよ、と。

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(大阪ステーションシティシネマ)

将軍アカシウス率いるローマ帝国軍の侵攻により、愛する妻を殺された男ルシアス。すべてを失い、アカシウスへの復讐を胸に誓う彼は、マクリヌスという謎の男と出会う。ルシアスの心のなかで燃え盛る怒りに目をつけたマクリヌスの導きによって、ルシアスはローマへと赴き、マクリヌスが所有する剣闘士となり、力のみが物を言うコロセウムで待ち受ける戦いへと踏み出していく。

引用:映画.com
原題:Gladiator II/2024年/アメリカ/148分/配給:東和ピクチャーズ/R15+
監督:リドリー・スコット/製作:ダグラス・ウィック リドリー・スコット ルーシー・フィッシャー マイケル・プラス デビッド・フランゾーニ/製作総指揮:ウォルター・パークス ローリー・マクドナルド レイモンド・カーク エイダン・エリオット/キャラクター創造:デビッド・フランゾーニ/原案:ピーター・クレイグ デビッド・スカルパ/脚本:デビッド・スカルパ/撮影:ジョン・マシソン/美術:アーサー・マックス/衣装:デイブ・クロスマン ジャンティ・イェーツ/編集:クレア・シンプソン サム・レスティボ/音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:ポール・メスカル/ペドロ・パスカル/ジョセフ・クイン/フレッド・ヘッキンジャー/リオル・ラズ/デレク・ジャコビ/コニー・ニールセン/デンゼル・ワシントン
ルシアスの出自を筆頭に話運びの部分では若干の無理やり感を覚えましたが、それ以外の部分では大満足。たとえばキャストの嵌りっぷりという点では、デンゼル・ワシントンの弾けっぷりが素晴らしいし、ペドロ・パスカルも安定の存在感、これまで演じてきた役柄のせいか超いい人という印象しかないジョセフ・クインの新境地も新鮮だったし、この面子に混じるとやや薄味な気もするポール・メスカルにしても、よくよく見るとルシアスに似てる!! グラディエーターにしては線が細すぎるかなとも思うけど、彼、もともとナイーブな感じだったもの。
あと24年ぶりの『グラディエーター』となると期待せざるを得ないのがアクションですが。これもすごい、大サービス。毛の生えてないマンドリル?とか、サイとか、水張って船浮かべてサメとか!!やばい、なにれこ!!!このへんはもういちいち楽しかったのですが、観終わってから「さすがにやりすぎじゃない?(褒め言葉)」と相方くんに行ったら、コロッセオではマジで水を引いて海戦を再現していたのだとか。ついでにパーティーでサイの角削ってたのも、薬とされていたからだそうで……へえ~、ていうか、なんでそんなこと知ってるの?
というわけで、2時間半の決して短くはない作品ですが、観はじめたらあっという間です。よくよく考えると見えてくる若干のゆるさや前作との辻褄の微妙な点も、観賞中は全く感じさせません。これが巨匠とはいえ、90歳を目前にした人のお仕事だと思うと驚愕です。ここ最近のリドスコ作品は、彼の人間嫌いがかなり強調されたものが多く(わたしはそういうのも好きなのですが)いまいち人におすすめしにくかった。でも今回は(監督の個性もそれなりに反映されつつ)とにかく観やすい、わかりやすい。往年のハリウッド映画の楽しさがしっかり詰まった良作なので、『ナポレオン』や『最後の決闘裁判』を「重そう」とか「暗そう」という理由でスルーしてしまった人はぜひ!!
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1作目のリンクをつけておきますが、観ていなくても大丈夫だと思います。たぶん。



ドリーム・シナリオ(大阪ステーションシティシネマ)

大学教授のポール・マシューズは、ごく普通の生活を送っていた。ある日、何百万人もの夢の中にポールが一斉に現れたことから、彼は一躍有名人となる。メディアからも注目を集め、夢だった本の出版まで持ちかけられて有頂天のポールだったが、ある日を境に夢の中のポールがさまざまな悪事を働くようになり、現実世界のポールまで大炎上してしまう。自分自身は何もしていないのに人気絶頂を迎えたかと思えば、一転して嫌われ者になったポールだったが……。

引用:映画.com
原題:Dream Scenario/2023年/アメリカ/102分/配給::クロックワークス
監督:クリストファー・ボルグリ/製作:ラース・クヌードセン アリ・アスター タイラー・カンペローネ ジェイコブ・ジャフク ニコラス・ケイジ/脚本:クリストファー・ボルグリ/撮影:ベンジャミン・ローブ/美術:ゾーシャ・マッケンジー/衣装:ナタリー・ブロンフマン/編集:クリストファー・ボルグリ/音楽:オーウェン・パレット
出演:ニコラス・ケイジ/ジュリアンヌ・ニコルソン/リリー・バード/ジェシカ・クレメント/マイケル・セラ/ティム・メドウス/ディラン・ゲルラ/ディラン・ベイカー

北米公開時から話題になっていた本作、ニコラス・ケイジが何百人もの人の夢に登場ってどんな話よ、と思ってたら、なんのことはない、そのまんまでした。自分の意図しないところで自分がどんどん有名人になっていき、持ち上げられたかと思ったら次の瞬間には手のひら返しの対応をされ、私生活がどんどんひどいことになっていくという大筋は言うまでもなくSNS社会を皮肉ったものだし、知らない男が夢にでてくるというのも2000年代に話題になった都市伝説「This man」騒動を想起させるため、正直そんなに新鮮さはなさげ、なんですが。

それでもついつい引き込まれて、あまつさえ最後にはちょっといい話だったなと思わされてしまうのは、やっぱりニコラス・ケイジの演技力のたまもの。実生活での言いたいことも言えない冴えなさが本当に切ないし、それでも捨てきれない承認欲求だったりスケベ心だったり……もうやめたげてー!!多少の承認欲求とかスケベ心なんてあってあたりまえなんだからそっとしておいてあげてー!!

性別こそ違えど年代的に近いこともあってか、彼のリアルすぎる中年ぶりには半端なく感情移入させられてしまうし、いろいろな夢に出てくるということで、その夢の中で見せる(主人公の人となりと関連しない)ふるまいにはシンプルに芝居のうまさがうかがえます。何かと考察がはかどりそうなピースの散りばめられた脚本もよくできているとは思うのだけど、彼の存在感と演技力がなかったら、ちょっと退屈していたような気もするようなしないような。製作に名を連ねているアリ・アスター監督作ほど作りこまれた世界観ではないだけに、ニコラス・ケイジの存在感とうまさが光る佳作でした。

ルックバック(配信/Prime Video)

学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメイトからも称賛されている小学4年生の藤野。そんなある日、先生から、同学年の不登校の生徒・京本の描いた4コマ漫画を新聞に載せたいと告げられる。自分の才能に自信を抱く藤野と、引きこもりで学校にも来られない京本。正反対な2人の少女は、漫画へのひたむきな思いでつながっていく。しかし、ある時、すべてを打ち砕く出来事が起こる。

引用:映画.com
2024年/日本/58分/配給:エイベックス・ピクチャーズ
監督:押山清高/原作:藤本タツキ/脚本:押山清高/製作:勝股英夫 瓶子吉久 押山清高/エグゼクティブプロデューサー:大好誠/企画:大山良/プロデュース:大山良/原作担当プロデューサー:林士平/プロデューサー:松村一人 篠崎真哉/絵コンテ:押山清高/キャラクターデザイン:押山清高
出演:河合優実/吉田美月喜/斉藤陽一郎/男岡幸太/牧紅葉/吉橋航也/宮島岳史/高橋大輔/伊東潤/竹内芳織/平ますみ/遠藤璃菜/宮岸泰成/髙浪実里/徳留慎乃佑/嶋陽大/提咲良/伊奈聖嵐/森川智之/坂本真綾

原作マンガは未読。映画が話題になっていることは知っていたので、配信に来たタイミングで鑑賞しました。

まず素晴らしかったのは作画。主な登場人物である藤野と京本が町を走る動きのあるシーンも二人の関係性や心象風景が伝わっておもしろかったですが、わたし的には机の上に置かれた鏡やドアの隙間から滑り込んでいく4コママンガなど小物の使い方が印象的でした。あと人物の目線の移動やしぐさなども逐一繊細で、観ていてよい意味で引っかかり、上映時間の短さを密度でしっかりカバーしているなと感じました。

お話に関しては、漫画家を志す女の子ふたりのビターな青春ものかと思っていたところ、クライマックスでクリエイターの業にグッと迫る展開になっていくことに驚きました。ただ実際の事件をあまりにも想起させるところがわたしにはちょっとトゥーマッチに感じられ……。

芸術は時として人を破滅させたり、闇に引きずりこんだりしてしまうわけですが、その要素が物語のある時点まではそこまで匂わされなかったのでちょっと唐突に感じてしまったし、唐突に出すにはショッキング過ぎたというか。当時の報道などを思い出してしまって、そこから映画に集中できなくなってしまったという感じ。このへんは人によって感じ方にも差が出てくるところだとは思うので、あくまでわたし自身の感想ということで。こういう人もいるよ、くらいに受け止めていただけると幸いです。

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ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ(配信/Prime Video)

1910年。若き日にともに雇われガンマンとして働いていた旧友の保安官ジェイクを訪ねるため、シルバは馬に乗って砂漠を横断する。メキシコ出身のシルバはしっかり者で感情的、つかみどころがないが温かい心の持ち主だ。一方、アメリカ出身のジェイクは厳格な性格をしており、冷淡で不可解で、シルバとは正反対だった。出会ってから25年が経つ2人は酒を酌み交わし、再会を祝い愛し合う。しかし翌朝、ジェイクは前日とは打って変わり、シルバがここへ来た本当の目的を探ろうとする

引用:映画.com
原題:Extrana forma de vida/2023年/スペイン・フランス合作/31分/配給:ハーク
監督:ペドロ・アルモドバル/製作:アグスティン・アルモドバル/製作総指揮:エステル・ガルシア/脚本:ペドロ・アルモドバル/撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ/美術:アンチョン・ゴメス/衣装:アンソニー・バカレロ/編集:テレサ・フォント/音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:イーサン・ホーク/ペドロ・パスカル/ペドロ・カサブランク/マニュ・リオス/ジョルジュ・ステアン/ホルヘ・スティーン/ホセ・コンデサ/ジェイソン・フェルナンデス/サラ・サロモ/オヒアナ・クエト/ダニエラ・メディーナ
短編ということもあって本当になんということのない話なんだけど、取るに足らないお話だからこそペドロ・アルモドバルが細部にまでこだわって好きなものを詰め込みました、という感じ。(サンローランによる)衣装や美術が見事なのはいつも通りですが、ハリウッドスターの起用(しかもイーサン・ホークペドロ・パスカル!!センスよすぎん?)とか西部劇とか、ちょっと意外な方向性を打ち出しているのもおもしろいです。過去、オファーが来ていたという『ブロークバック・マウンテン』をほんのり意識しているという発言も監督自身からあったようですが、うーん、『ブロークバック・マウンテン』ってやっぱりペドロ・アルモドバルじゃなくない? たぶん本人にも「コレジャナイ」感があったんだろうな。
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RHEINGOLD ラインゴールド(配信/Prime Video)

クルド系音楽家のもとに生まれたジワ・ハジャビは、亡命先のパリで音楽教育を受けた後にドイツのボンに移り住むが、両親の離婚により貧しい生活を余儀なくされる。ある日、街の不良たちに叩きのめされた彼は復讐のためにボクシングを覚え、「カター(危険なヤツ)」となってドラッグの売人や用心棒をするように。さらに金塊強盗にまで手を染めて指名手配された彼は、逃亡先のシリアで拘束されてドイツに送還され、刑務所内でレコーディングした曲でデビューを果たす。

引用:映画.com
原題:Extrana forma de vida/2023年/スペイン・フランス合作/31分/配給:ハーク
監督:ファティ・アキン/製作:ヌアハン・シェケルチ=ポルスト ファティ・アキン ヘルマン・バイゲル/脚本:ファティ・アキンル/撮影:ライナー・クラウスマン/美術:ティム・パネン/衣装:カトリーン・アッシェンドルフ/編集:アンドリュー・バード/音楽:ジワ・ハジャビ/音楽監修:ピア・ホフマン/セリフ監修:カター
出演:カターエミリオ・サクラヤ/モナ・ピルザダ/カルド・ラザーディ/ソゴル・ファガーニ/フセイン・トップ/アルマン・カシャニ/デニス・モシット
実話ということですが、音楽方面はまったくくわしくないので予備知識はゼロ状態での鑑賞となりました。でもファティ・アキン監督作品は、社会派の要素を漂わせつつも娯楽映画的なおもしろさがあって嫌いではない、というかむしろ好きな監督だし、特に音楽に造詣の深い方なので、今作はちょっと期待していたのですが……うーん。
実話だからということもあるかもしれませんが、ちょっと散漫に感じてしまいました。辛い環境で育ち、犯罪に手を染めるようになっていく(なっていかざるを得ない)という生い立ちそのものは波乱万丈なんだけど、どこかで音楽(ラップ)に収束していくのかと思いきやそれほどでもないんですよ。作ったら人気出たんだよね、という感じ。まあハリウッド映画じゃないんだから無理に盛り上げる必要はないし、音楽やってみたら売れちゃったっていうのも案外現実にありがちなことではあるのですが、彼の行き当たりばったりの生き方がまっとうなものに変わるきっかけがなんだったのかはできればちゃんと納得したかったなあ。それともわたしが何かをちゃんと受け止めていないだけ?
ただ演出力のある人なので、ひとつひとつのシーンはよかったです。故郷を追われて亡命するまでの緊張感、アクションも含めた犯罪シーンの緩急……あと刑務所の汚い感じもなんとも言えず味わいがあるんだけど、これはファティ・アキン作品常連のライナー・クラウスマンのカメラがいいのかしら。生々しい質感と人工的な光が共存してる感じがなんか好き。
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