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猛襲(Netflix)
海辺の町にカテゴリー5のハリケーンが襲来、水と一緒にサメまで流れてくる。取り残された子供たちは、あらゆる道具や知識を総動員して助け合う。
ハリケーン+サメといえば『シャークネード』シリーズを連想しがちだが、あそこまでバカバカしくもなく、サメを見せることにもこだわっていない気がしたので、サメ好きには物足りないかもしれない。そもそもトミー・ウィルコラ監督は、設定が素っ頓狂でも笑わせのポイントはキャラクター同士のやりとりに重きを置きがちだ。
とはいえ血しぶきや飛び散る肉片にも定評がある監督だけに、そのへんの描写の物量的にはまずまず満足。特に最凶クラスの毒親(里親)の死に様は心地よいざまぁ感があった。肉、ダイナマイト、水中出産などのシチュエーションも楽しくて、基本的には楽しく鑑賞したのだが……。
毒親パートを楽しみすぎてしまったせいもあって、案外いくつかのラッキーな偶然が重なってスルッと助かる(ように感じてしまった)ラストには、かなり薄味な印象が残ってしまった。妊婦+理系ティーン組と3兄弟も、まったく接点がないままだったのもちょっと寂しい。
カッコウ(Prime Video)
両親の離婚によって母親と2人で暮していた17歳のグレッチェンは、ある事情から父親と彼の新しい妻、さらに2人の間に生まれた娘(義妹)とともに、ドイツの山奥に移住する。現地には父親の知人だというホテルオーナーのケーニヒがおり、何かと世話を焼いてくれるが、グレッチェンは慣れない場所で慣れない人間と暮すことに苛立ちを募らせる。
思春期まっただ中でかなり愛想の悪い主人公に、それも仕方ないと思わざるを得ない微妙に失礼な周囲の大人ども……と、感情移入できる人間がいない上に説明も少なめの前半はややだるいが、ハンター・シェイファーにダン・スティーブンス、ジェシカ・ヘンウィックとキャストが豪華な上、画作りが美しいので退屈はしない。中盤にさしかかっても雰囲気が不気味なばかりでなかなか全貌は見えてこないが、バイト帰りの主人公を追いかけてくる謎のグラサン女のシーンは唐突にジャッロ映画のようなトーンになり、やたら怖くてやっぱり眠くはならないのだった。
グラサン女登場まできたら、その後の展開はわりと饒舌だった。いわゆるエレベーテッド・ホラーかと思いきや、前半の謎は後半でほぼ完璧に説明される。終盤にはSFアクション要素も加わって、ハンター・シェイファーが血だらけ包帯だらけで謎女やキモい男たちから義妹を守って戦う。
田舎ホラー、フォークホラー、ジャッロ、SFとジャンルがどんどんミックスされていく感覚や案外明快(というかタイトル通り)な種明かしに関しては好みの分かれるところだが、個人的には映画全体に漂う硬質なルックや、クライマックスに向けてどんどんかっこよくなるハンター・シェイファーがツボだった。
ハウス・オブ・ザ・デビル(kino cinéma心斎橋)
1983年、アメリカ・コネチカット州の田舎町。だらしないルームメイトとの同居生活に嫌気がさしたサマンサは、小さなアパートに部屋を借りることにする。初月の家賃300ドルを急いで用意しなければならない彼女は、条件の良いベビーシッター募集の広告に応募する。電話で話した広告主のウルマン氏はどこか奇妙な様子だったが、依頼を受けることにしたサマンサは、森の中にあるウルマン氏の家を訪ねる。するとウルマン氏は、実際にはベビーシッターではなく、老いた義母の世話を頼みたいという。一晩で400ドルという報酬を提示されたサマンサは、依頼を引き受けることにするが……。
引用:映画.com
以前から何かと(特に「エックス」三部作のヒットで)言及されることの多かった2009年のタイ・ウェスト監督作品が、ようやく日本でも公開された。噂に違わず舞台となっている80年代前半の再現度が凄まじく、ダイヤル式固定電話やウォークマン、ブラウン管テレビといった小物使い、ファッション、音楽等々、細部に至るまでのこだわりが伝わった。さらにこの時代の映画独特のくすみやざらつきを得るために敢えて16㎜フィルム使用する……という手法は、ここ何年かわりと頻繁に見かけるスタイルだが、それももしかしたら本作がハシリなんじゃなかろうか(調べたわけではないので真偽のほどは不明だが)。
不穏な空気をじっくり長い時間をかけて見せるいわゆる「スローバーン」で進むストーリーも、当時の、低予算タイトルの多かったホラー映画をしっかり踏襲している。主人公がひたすら屋敷を歩きまわるばかりの前半は人によっては退屈に感じるかもしれないが、観客は早々にグレタ・ガーウィグ演じる友人が殺されるところを見せられていたり、そもそも本作はホラー映画だということを知っているだけに緊張感はきっちり持続する。
というわけで、散々焦らされてからの悪魔との攻防戦、さらにその先に待つ絶望とオチも概ね想定内だが、それがいいと思えるのがこの手の映画である。今年の2月に訃報を聞いたばかりのトム・ヌーナンのお姿(しかもかなりインパクトの強い)が拝見できたのも幸せだった。
ゼイ・ウィル・キル・ユー(大阪ステーションシティシネマ)
ニューヨーク、マンハッタンに建つ高級マンション「バージル」。優雅なインテリアに囲まれ、高度に訓練されたメイドが住人たちの世話をする、誰もが憧れるような住居だ。しかしその実態は狂信的な悪魔崇拝者の巣窟で、住人たちは月に一度、無垢な女性をメイドとして雇っては悪魔への生贄に捧げる恐ろしい儀式を行なっていた。そして今夜もまた、1人のメイドが生贄に選ばれるが、彼女が思わぬ反撃に出たことで事態は一転。驚異的な戦闘能力を持つメイドは、斧やナタで悪魔崇拝者たちを次々と血祭りにあげていく。
引用:映画.com
タランティーノフォロワーのホラー版かなと若干舐めていたが、話が進むにつれて構図や音楽にきっちり監督の持ち味が出てきて楽しかった。横や俯瞰からのゲームのようなスクロールは『ジョン・ウィック コンセクエンス』を思い出したりもしたが、それよりもさらに全体的にカメラもキャラクターもブンブン動いて、昭和の少年マンガみたいなけれんみがあった。敵不死身設定のおかげで、雑に殺してもどんどん生き返って物量で勝負できるし、目玉や首ナシの身体がノソノソ動くのもかなり楽しい。安易に既存曲を使わない音楽も好印象だ。
あと主人公が最初からケンカする気満々っていうのが、この手の映画にしてはめずらしいと思った。だからこそ最初からガンガンアクションを見せていけるし、それをするための主人公まわりの設定も(彼女が強いことも含めて)なにげに上手くソツがない。ノリノリで豚と合体するオスカー女優、パトリシア・アークエットが演じるリリーの過去についても、彼女がこのマンションに住み着いたと思しき時代を鑑みることでいろいろ想像できるいい設定だった。
というわけで、全体的にとても楽しんだが、欲を言えばあのマンションの内部(七つの大罪に倣った階層がある?)をもう少し見たかった。ランニングタイムが長くなりそうなのであくまでザクッと、だいたいどんな暮らしをしているのかがチラ見できればいいのだが……まあ、変化とインパクトのあるパターンを7種類考えるのは大変よね。だから色欲以外をすっとばしたのもわからんではないのだけれど。
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