【2024年】私の映画ベスト10本+α

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2025年が始まってすでに1ヶ月が経過しましたが、2024年に観た新作映画の中から、印象に残った映画10本を挙げておきます。
本当は「月刊映画感想文」として、観た映画のすべての感想を書いた上でまとめたかったのですが、ふがいないことに半分くらいしかフォローできていません。
よって記事内では、すでに感想のある作品については該当記事へのリンクを添付、それ以外の作品には簡単に感想を書きました。
ちなみに、2024年の新作映画鑑賞本数(※配信、リバイバル、ドキュメンタリー含む)は、
  • 洋画94本
  • 邦画8本
合計102本ということで、まずまず例年通り。
多い少ないはともかく、私にとっては時間的にも経済的にもこれくらいが限界のようです。
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【2024年】私の映画ベスト10本+α

配信のみやリバイバル、ドキュメンタリー作品も含めて、とにかく印象に残った10本をピックアップしています。
ランキングではないので、並び順にはそれほど意味はありません。ですがなるべくジャンルが偏らないように、切り口が被らないようにというところは意識して選びました。
最後に泣く泣く10本に入れられなかったいわゆる「選外」も数本選出していますが、このあたりももう好き度で言えば選んだ10本と変わりません。
この記事に出てくるタイトルは、どれも等しく2024年の私が心を大きく揺り動かされた作品たちです。



1.(ランボー トリロジー 4K)ランボー

(C)1982 STUDIOCANAL. All rights reserved.

私が映画好きになったきっかけの1本で、今回はじめて劇場で観ることができました。ゆえに感慨は別格。

「ランボー」シリーズは筋肉映画の筆頭のように語られることが多いですし、実際そういう面もあるのですが、同時にどうしようもなくやるせない戦争映画でもあります。特に1982年公開のシリーズ1作目となる『ランボー』は、人の命を奪うだけではなく、心をも蝕む戦争というものに大きく焦点を当てており、まごうことなき傑作であると言っていいと思います。その印象は初見から40年近く経った今回の鑑賞でも変わらず、その時点でこれはもう今年の10本に入れざるを得ないと決めていたのですけれども。

最近のスタローンはちょっといろいろアレな感じで、ファンであるというのもなんとなく大声では言いにくい雰囲気(もともと彼は共和党支持者ですが、2016年頃はもう少し言うべきことは言ってた印象)。昨年末あたりからニュースなどが出るたびに思案もしたのですが、今現在の彼がどうであれ40年前の作品の価値は変わらないはず!!

……というわけで、結局は当初の予定通り選出することにした次第です。スタローンのことは嫌いになっても、どうかランボーのことは嫌いにならないでいただきたいものです。

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2.ジガルタンダ・ダブルX

(C)Stone Bench Films (C)Five Star Creations (C)Invenio Origin

日本でもスタンダードなエンタメとなりつつあるインド映画とはいえ、『RRR』とか『JAWAN/ジャワーン』のような大予算で作られるスター映画と比べるとビジュアルもお話もかなり荒削り。でもそういうところもインド映画の魅力だよねと少し舐めた目線で鑑賞しつつすっかり油断していたら、とんでもないところへ連れて行かれてしまいました。

展開が二転三転して最終的に違う映画のようになってしまうのはインド映画のお決まりですが、それにしたって感情がついていかない。でもそれがなんともいえない後味を残すのも確かなので、これから鑑賞される方はぜひ前知識なしで。

3.ロボット・ドリームズ

(C)2023 Arcadia Motion Pictures S.L., Lokiz Films A.I.E., Noodles Production SARL, Les Films du Worso SARL

セリフがまったくなく、アニメーションと音楽だけで進む超シンプルな大人の寓話。かわいらしい絵柄でよみがえる80年代のニューヨークや、サイレント映画へのオマージュもクオリティが高く引き込まれましたが、ラブストーリーとして観るのか「Life goes on」のおとぎ話として観るのかで印象がずいぶん変わってきそうな、懐の広いストーリーも秀逸でした。

4.関心領域
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ありふれた日常を静かに浸食していく狂気がちょっとしたホラー映画より怖かったです。音の演出がクローズアップされがちで、そこはもちろん本作の重要なファクター(自宅で鑑賞するならヘッドフォン必須)なのですが、MV出身の監督らしく構図も計算され尽くしていて、とにかく隙のなさに感嘆せざるを得ない傑作です。もう一度見直したい細かいところがたくさんあるのですが、ちょっとね……キツいのよね……。

5.マッドマックス フュリオサ
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さすが巨匠のお仕事と感嘆せざるを得ない完成度。あの世界の謎がいろいろ明かされたり、鉄馬の女たちの若かりし頃の活躍が堪能できたり、イモータン・ジョーのとりまきたちの出自があきらかになったり、楽しい場面がいろいろあったのですが、私はディメンタスのダメっぷりが非常に人間臭くて心に沁みました。1作目にシームレスに繋がりつつ、神話的な余韻を残すラストシーンも最高。


6.陪審員2番
(C)2024 WarnerMedia Direct Asia Pacific, LLC. All rights reserved. Max and related elements are property of Home Box Office, Inc.

クリント・イーストウッド監督作品がまさかの劇場未公開(U-NEXT独占配信)。『運び屋』『クライ・マッチョ』等、近作が振るわなかったというのはありますが、大巨匠の(おそらく)引退作になるだろう作品が配信スルーとは。しかもテーマといい無駄のない語り口といい、とてもイーストウッドらしいいい映画なのに。

イーストウッドの監督作には素晴らしいものがたくさんあって、その中で本作がそこまで上位に来るかというとそれほどではないかもしれません。でも彼は私が映画好きになったころからすでに大スターだったし、そんな人の引退作(になるかもしれない)となれば、記念的な意味でも選んでおきたいというのがファン心理というもの。とはいえイーストウッドファンと言うには、私は彼の関わった作品をそこまで熱心に見ているわけではないので、あくまで映画ファンのはしくれとして、ですが。

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7.フォールガイ

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とにかくシンプルに楽しかった!!

デヴィッド・リーチなのでアクションがいいのは当然なんですが、キャラクターやベースになってるロマコメ要素のおもしろさがなんとも絶妙の味わい。登場人物全員好きにならざるを得ない、人懐っこさを感じる作品でした。

続編観たい!!ってなるけど、単発ものだからこそ鑑賞後の胸アツ感が持続してるんだろうな。続きやるよってなったら、余韻よりも続報ばかりが気になっちゃいそうだし。

8.Cloud クラウド
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今年は黒沢清の新作映画がなんと3本も公開されました。どれもファンとしてはじゅうぶん楽しめたのですが、本作は80年代、90年代のキレッキレだった黒沢清が、キレはそのままにさらに純度を上げて蘇った感じです。途中から不思議な方向へ物語がシフトしていって、不思議なままスコンと終わる。これですよこれ、これが黒沢清ですよ、って途中からゾクゾクしちゃいました。

9.テリファー 聖夜の悪夢
(C)2024 Cineverse. All Rights reserved.

ゴアへのあくなき探求心と、オーソドックスなスプラッタでありながら120分強まったく飽きさせない演出力に唸りました。ポスターにもあるとおりアメリカでは興行収入1位を記録したそうですが、わかるー、アート・ザ・クラウン、キュートだもの。あまたあるホラーアイコンの中でも、アイドル的魅力という点ではレザーフェイス、チャッキーに次ぐ新定番だと思います。

10.どうすればよかったか?
(C)2024動画工房ぞうしま
内容がそもそもキツかったというのもありますが、あらためて映像の持つ力というのを実感させられて戦慄しました。たとえば年老いていく両親の姿からくみ取れる時間の流れ、生活の匂いが強く感じられる空間、ふとした拍子の人物の目線、笑い方、息づかいや話し方の抑揚、そこから伝わる憤りや絶望、後ろめたさ、安堵、ささやかな喜び等々……映像がそういうもので作られていることは理解していたつもりなのに、あまりにも濃密に情報が詰まっていることにクラクラしながらの鑑賞でした。
人って、意図してなくてもめちゃめちゃいろんな感情を垂れ流してるんですね。特に本作は、カメラを回しているのが身内だからこそ透けて見えるものがあります。ただでさえ息の詰まるような閉塞感がつらい作品でしたが、加えて押し寄せる情報と感情に終始圧倒させられながらの鑑賞となりました。



選外

密輸 1970

(C)2023 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K. All Rights Reserved.
とにかく楽しかった映画という枠で、『フォールガイ』とかなり迷ってこのポジションとなりました。でも決め手は気分なので、どちらかが劣ってるとか全然ないんです。『フォールガイ』はノワール風ロマコメ、こちらはシスターフッドが熱いコンゲームなので、好みのテイストをチョイスしていただければと思います。アクションもよかったなあ。
U-NEXT独占配信。

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アイズ・オン・ユー
(C)Netflix
実在のシリアルキラーを題材としつつ、その出自や異常性には触れずひたすら女性目線の恐怖を突き詰めていたり、女性蔑視が日常茶飯事であるがゆえの社会のゆがみにスポットを当てていたり、なにかと新味を感じる作品でした。
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クワイエット・プレイス DAY 1
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監督のマイケル・サルノスキが好きすぎてハードル上げまくりで観に行ったにもかかわらず、大満足で帰路についた作品です。空気感、人間観、猫、全部好き。

憐れみの3章
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ヨルゴス・ランティモス監督作も今年は2本、立て続けに公開となりました。『哀れなるものたち』もじゅんぶんよかったですが、初期からタッグを組んできたエフティミス・フィリップとの久々お仕事はやっぱり格別。10本にもかなりギリギリまで入れるつもりだったのですが、『どうすればよかったか』をピックアップしてしまったため残念ながら選外となりました。
異人たち
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孤独を抱える大人のとても切ない寓話で、私は自分でもびっくりするほど(それこそ数日後を引くほど)引き込まれました。あらすじやアンドリュー・ヘイ監督のこれまでのフィルモグラフィーなどに目を通して、興味が沸けば必ず興味深く観ることが出来ると思いますが、大林版とも原作ともまったくアプローチが異なるので、比較目的で鑑賞しないほうがいいと思います。
ウィル&ハーパー
(C)Netflix
押しも押されぬアメリカのスーパースター、ウィル・フェレルが、性別を変更した親友(脚本家のハーパー)とともに旅に出るというドキュメンタリー。互いが互いを尊重すること、思いやること、でも素直でいること……言葉にすれば簡単で当たり前だと思えることが、実践するとなるとどれだけ難しいのか、これでいいのかと不安になるのか。スーパーハリウッドスターが、親友の変化にオロオロと戸惑い、それでも相手のことを気遣って、一生懸命知ろうとし、そんな姿に相手も頑なに閉じていた心を開き、どこかつたないコミュニケーションを重ねていきます。
ある程度作り込みのある構成ではありますが、時に笑いを誘うジョークを交えながら、気兼ねないやりとりを重ねていく2人の姿に嘘はないと感じました。また行く先々で垣間見える「現代のアメリカ」もリアルに切り取られており、今後ますます複雑になっていくだろう世界の状況についても考えさせられます。
あと、途中でちらりと出てくるクリステン・ウィグが最高でね。いい人なんだろうなというのはこれまでのお仕事からも伝わるんだけど、それが確信に変わります。エンドロールが素晴らしいので、最後まで観て下さいね。
Netflix配信中。

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(おまけ)おもしろかったドラマシリーズ

チャッキー シーズン3

© 2023 Universal Content Productions LLC. All Rights Reserved.
待ちに待ったシーズン3、やっと到着です!!今回の舞台はなんとホワイトハウス。しかもテーマは老化……人形も老化するんですね。
相変わらずなんでもありのお話はおもしろいし、ゴア描写も安定の容赦なし(ピーラーがやばい)。流行の映画のパロディもいろいろあって終始ニヤニヤで楽しめましたし、加えて今回は後半のカメオが超豪華。シーズン1と2でしっかりご新規ファンを獲得した上で、ということなのか、遊び心がさらに増量されたシーズンだったなと思います。ラストもまだまだやる気満々な終わり方でしたが……打ち切りですって!?まじかー。理由は予算的なことらしいですが、うーん……視聴率も悪くないし、批評家ウケもいいし、クリエイター陣もやる気まんまんみたいなのでどこかで拾ってもらえないですかね。残念ではありますが、実はそんなに気落ちしてません。だってチャッキーはこれまでだって何回も復活してきましたから。オリジネーターのドン・マンシーニもデヴィッド・カーシュナーもまだまだ若いですし、まあ気長に待ちますよ。
ちなみに当初Hulu独占配信だった本作、いつのまにかシーズン1と2がプライムビデオで観られるようになっていました。新たに視聴可能となった方は、ぜひ観よう。シーズン3は今のところHuluのみです。
Amazonプライムビデオ配信中。

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三体

(C)Netflix
長大な原作をうまく換骨奪胎して、序盤から画的にもドラマ的にもしっかり動かし、おもしろく見せることに成功しています。原作から改編されてしまったキャラクターやエピソードの中には印象的なものもあり、物足りなく感じる部分もなくはないのですが、このあともっともっとトンデモになっていくこの世界観をどう見せるのか、大いに楽しみにしています。
Netflix配信中。

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THE PENGUIN ザ・ペンギン
(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. HBO and MAX and related elements are property of Home Box Office, Inc. THE PENGUIN and all related characters and elements are copyrights and trademarks of DC. All Rights Reserved.
クズが主役の映画は数あれど、ここまでまったく褒められたところのない真性のクズも珍しい。本作のペンギンはそれくらいクズ、てかもはやサイコパスなんですが、サイコパスにありがちなカリスマみたいなのも全然ないし、悪なりの矜持もなければケチだし小ずるいし。そんな男なので周囲の人間も全然ペンギンを脅威として意識してなくて半ば放置みたいになってるんだけど、いざギリの状況に直面したらなんだかんだ口のうまさと運の良さで切り抜けていくし、演者コリン・ファレルの持ち味でもある奇妙なかわいげも手伝って庶民にとってはある意味親近感の持てるキャラクターと言えなくもないようなそうでもないような。
それでもこんな男にいつまでも付き合いきれんだろう、と思う人には目力が強烈なクリスティン・ミリオティ演じるソフィアも魅力的です。ファッションやメイクも含めてこれぞかっこいい悪!!としてペンギンと対の立ち位置となる彼女のオリジンが描かれる回(4話かな)、いちばん好きかも。クランシー・ブラウンとか通好みのキャストも登場していて、とにかく楽しいシリーズでした。
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まとめ

ここ数年、映画(特に洋画)は多様性にクローズアップした作品が多くて、それはそれですごく有意義なことだったのですが、2024年はもはやそのあたりの配慮はあたりまえ、さらにその先にある個人の人間性に迫るものが多かった気がします。

たとえば、性別や国籍を問わない『ロボット・ドリームズ』、ごく自然に女性がメガホンを取っている『フォールガイ』『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』『ザ・バイクライダーズ』などオーソドックスな題材で男性を主役に据えた作品でもごく自然に男性目線になりすぎない配慮がされていたし、『僕らの世界が交わるまで』『メイ・ディセンバー ゆれる真実』では、女性が陥りがちな男性へのハラスメントを、変なイジりなしに扱っていたと思います。

ジャンル映画も元気だった印象で、『セキュリティ・チェック』とか『レベル・リッジ』とか『ウルフズ』とか。どれも配信なのが寂しいと言えば寂しいですが、90年代っぽい懐かしさのあるアクション映画がたくさんあったので幸せだったし、『オーメン ザ・ファースト』もよかったし。

2024年も映画鑑賞は総じて楽しかったです。2025年もできるかぎりいろんな映画が観たいし、ちゃんと感想も残したい。新作も見たいけど最近はリバイバルも増えてきたし、ドラマも気になるのがありすぎで、観たものは記録を残したいし、感想ばかりじゃなくちゃんとした記事にしたい気持ちもあるし。

いろいろやりたいことはありますがなにぶん時間には限界があります。どうしてもマイペースにはなりますが、それでも楽しいことだけをして気楽に暮らしていきたい所存。今年も何卒よろしくお願いいたします。